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『ラ・ラ・ランド』 [映画批評]

『ラ・ラ・ランド』は一度、機内で観ようとしたのだが、ちょっと10代向けという感じが強かったので、5分ほど観ただけで挫折していた。しかし、私が最近きになっているソノヤ・ミズノも出演していることを知ったのと、また、私が敬愛する60代半ばの建築家の先生が「面白いよ」と言ったので最後まで頑張って観てみた。ソノヤ・ミズノは前半においてエマ・ストーン演じる主人公とシェアルームしている役で出て、4人で踊るのだが、4人の中で一番、スタイルがよくて、しかも踊りもキレキレであった。本当、日本人の血が半分入っていると思えないほどの格好良さである。
 話の展開はちょっとペーソス溢れていて、思ったよりは楽しめた。とはいえ、完全な娯楽作品であり、まあ漫画のような感じのミュージカル映画である。ただ、このべたべたになりがちなロマンス映画をどうにか観られるようにしているのは、エマ・ストーンの爽やかさというか、清潔さであるかと思う。ジョディ・フォスターをちょっと柔らかにした感じのキャラクターはなかなか大器な印象を与える。
 あと、『ラ・ラ・ランド』とタイトルにしているだけあって、ロスアンジェルスの魅力を映画で表現しようと意図されているのが分かる。ロスアンジェルスという都市への愛に溢れているが、ロスアンジェルスは都市としては相当、出来損ないなので、この映画のように感じよく描くのは相当、至難の業なのではないかなと思う。グリフィス・パーク、サンタ・モニカ・ピア、ワッツ・タワーなどロスアンジェルスのランドマークをしっかりと抑えているが、逆にダウンタウンはまったく出てこない。いかに、ロスの住民がダウンタウンなしで暮らしているか、ということを逆に示している。
 また、重箱の隅を突くような指摘で恐縮だが、セバスチャンがミアを実家のボルダーにまで朝の8時に自宅に迎えに行き、その日の17時30分にロスアンジェルスで行われるオーディションに届ける話があるが、ボルダーからロスアンジェルスまではどんなに車を飛ばしても9時間30分で着くことはできない。ということは、自分の車でデンバーに行き、そこから飛行機でロスアンジェルスにまで飛んだということだろうか。こういうのが気になると、映画のストーリーに集中できなくなってしまうので、そこらへんは筋を通して貰えるとよかった。


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『ソフィーの選択』 [映画批評]

 トランプ大統領がメリル・ストリープのことを「史上最高に過大評価された女優」とツイッターで批判したので、これまで観たことのなかった彼女の傑作の一つである『ソフィーの選択』を観た。というか、これを観ると素人でもメリル・ストリープが天才としか形容できないような女優であることが分かる。背筋が寒くなるほどの演技力である。こりゃ大した大女優である。少なくとも『ソフィーの選択』のメリル・ストリープは、どんな絶賛も過大評価になることはない。というか、この映画の主人公であるソフィーという地獄を見させられた女性の複雑な多面性を演技できる女優がこの世にいるというだけで驚きである。ソフィーは潔癖であると同時に官能的であり、ユーモラスであると同時に悲しみに溢れ、そして圧倒的に絶望的である。第二次世界大戦におけるドイツのユダヤ虐殺が、いかに多くの人生を狂わせることになったのか。それは観る者の心を大きく揺さぶるであろう。
 最近は日本を含めて世界中で人種差別的な動きが活発化しているが、そのような考えがどれほど人の醜悪さを晒し、無実の人を崩壊させるか。トランプを支持する3割ちょっとのアメリカ人も、トランプのいい加減なツイートを信じるより、この映画でも観て、生きることや人種差別の負の側面について、ちょっと立ち止まって考えるべきであろう。そして、このような女優を「大根女優」のようにしか捉えることができないバカな大統領を選んだ自分達の愚かしさを反省するといい。


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ジェイン・ジェイコブスの映画『Citizen Jane』の試写会を観に行く [映画批評]

 ジェイン・ジェイコブスの映画『Citizen Jane』の試写会を観に渋谷に行く。Citizen Janeというとジェーン・フォンダの伝記を思い出す人もいるかもしれないが、この映画はジャーナリストで作家であるジェイン・ジェイコブスがニューヨークの街並みを道路開発や都市再開発事業から守った話である。
 ロバート・モーゼスが完全なヒール役として描かれている。巨大な都市計画の悪、それを仕切るロバート・モーゼスという悪人に、ジェイン・ジェイコブスは知恵と庶民を味方につけてやっつけるという勧善懲悪的なストーリーである。それは、それで面白かったが、この映画のコピーである「もしもジェイコブスがいなかったら、世界で一番エキサイティングな都市・ニューヨークは、きっとずっと退屈だった」という文章は、ジェイコブスの代わりにモーゼスを置き換えてもいえなくもない。いや、エキサイティングかどうかは分からないが、ニューヨークというアメリカ合衆国において極めて特異で、唯一都市らしい都市(強いていえばサンフランシスコとシアトルは入れられるかもしれない。ポートランドも入れたい気はするが、ちょっと厳しいかも)の骨格をつくったのはまさにモーゼスである。モーゼスがトライボロー橋を架けた。国連のヘッドクォーターをマンハッタンに招致するのに成功させたのもモーゼスである。映画では酷評されていたが、クロス・ブロンクス・エクスプレスウェイをはじめとした高速道路、リンカーンセンターやメッツの本拠地であるシェア・スタジアムもそれらをつくるうえで彼は多大なる貢献した。つまり、何が言いたいかというと、ジェイン・ジェイコブスはニューヨークの魅力が壊されるのを守りはしたが、新しい都市の基盤をつくるようなことはしなかった。確かにモーゼスはやり過ぎの感はあったし、モーゼスのやり方を続けていたら、ニューヨークはより退屈な都市になったかもしれないが、私は両方が必要であったように思われるのだ。ジェイコブスというカウンターがいたことの効果は過小評価できないが、モーゼスがいなければハードとしての都市であるニューヨークは、現在のようにある程度、公共交通が充実し、飛行場へのアクセスもそれほど悪くないような機能的な都市にはならなかったような気がする。ジャカルタのような状況になってしまった可能性もあるかもしれない。いや、それはそれで面白い、と言われてしまえばそれだけの話なのだが。
 モーゼスがあまりにも悪く描かれていたので、私は、しかし、その当時の時代背景としては、こういう方向に皆が向いていたのにな、と不満を感じたところ、しっかりと、このような都市自体をスクラップ・アンド・ビルドすることを唱道した張本人ル・コルビュジエが出てきて、相当、批判的に描かれていたのでしっかりとコンテクストを抑えているな、と安心した。そもそも、日本ではジェイコブスを称賛するのと同時にル・コルビュジエも称賛するという、巨人ファンであると同時に阪神ファンでもあると主張する変な輩があまりにも多いが(特に建築関係者や都市計画関係者)、この2人の「都市論」は到底、共存することはできない。まあ、ジェイコブスの場合は、反モーゼスであったルイス・マンフォードでさえ批判的であったので、相当、難しい。というか、ジェイコブスの側に立つということは、土木的な都市計画を真っ向から否定するということにあることを、にわかジェイコブス支持者は自覚をした方がいいと思う。
 この映画は、多少、モーゼスに比べてル・コルビュジエには甘い見方をしている印象は受けたが、そもそもモーゼスのようなタイプの人間を生んだ大きな背景にはル・コルビュジエと彼のタブラ・ラサを理想とするような都市像があったことは間違いない。タブラ・ラサにするには、クリアランスをするしかないからね。しかし、そのことを映画を観た後、映画館内で知り合いに会ったのでその話で盛り上がっていると、関係者が「いや、でもコルビジェを誤解した、と映画では解説しましたよね」と言ってきた。確かに高層ビルがオフィスであって、住宅ではなかったという言い訳はできるかもしれないが、あのような距離を置いて高層ビルを林立させ、間に広幅員の道路をつくるというル・コルビュジエの都市のコンセプトはまったく誤解していない。プルイット・イーゴーなんてコルビジェの「輝く都市」そのものではないか。それにフランスでも、パリのラ・デファンスはコルビジェの延長線上にあるのは明らかでしょう。
 ちなみに、私はモダニズムはそれほど好きではないが、いいところもたくさんあると思っている。ブラジリアに行くと、コルビジェ的なモダニズムの理論のもとに丁寧につくった住宅街の方が、勝手に不法占拠でつくられたファヴェラ街よりもはるかにいいと思うし、前川国男の世田谷区役所を壊すのは反対である。とはいえ、日本の東京に住んでいて、まさに東京のグリニッチ・ヴィレッジとニューヨーク・タイムスのライターが形容する下北沢にとんでもない26メートル道路が、区民が必死になって反対しても結局つくられてしまうことや、他にも明大前、小平、調布などで住民が反対しても道路がつくられてしまいそうな状況や、立石のような個性的な街区が再開発によって無個性化しそうなことをみるにつけ、どうして、これだけ成熟化して、さらにアーバンな魅力を放ちつつある東京を道路や再開発で壊してしまおうと今でもするのか。まったくもって分からない。そして、二子玉川や湾岸に立つまさにプルイット・アイゴーのような高層マンションに多くの人が高いお金を払って住みたがるのかも全然、分からない。
 ニューヨークはモーゼスというフェデラル・ブルドーザーのようなキャラが立っている人物がいたおかげで反対運動も展開しやすかったが、東京は誰が進めているかが本当、分かりにくい。というか、三宅都議員は高い確率でそうだが、彼がそのような東京を破壊する張本人の1人であると理解したり、報道したりする人は少ない。そして、ジェイン・ジェイコブスを気取った人が出てきたりもするが、協調性のないプライドの高い人で、ジェイコブスが示したカリスマ性や戦略性などを見ることはできない。まあ、私もそういう点では人より劣っているので、あまりそういう指摘をするのは気が引けるが。
 とはいえ、ジェイコブスの都市論の骨格である「人が都市をつくる」というのはまさにその通りであり、人が豊かになるために都市はあるのであって、都市が豊かになるために人が犠牲になるのはおかしいし、そもそも都市が豊って何?(土地が金を生み出すということでしょうが)ということである。ただ、この映画をみると勇気づけられるし、インフラがある程度整備された後は、ハードではなく、このような保全とか人の行動をベースにしたソフトな都市空間づくりが求められることになるのであろう。
 ちょっと宣伝になってしまうが、私は「都市の魅力を構成する要素は何か?」というテーマで内外の有識者(ヤン・ゲールやらジャイメ・レルネルやらトーマス・ジーバーツやら隈研吾さんやら陣内秀信さんやら)に取材をしたのだが、彼らはほぼ異口同音に「人」と答えていた。もし、宜しかったら、下記から見ることができるので見てみて下さい。

http://www.hilife.or.jp/wmca/?p=7

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『エクス・マキナ』 [映画批評]

久しぶりに凄い映画を観た、というのがとりあえずの感想。2015年に公開されたイギリス映画。人間とAIとの騙し合い、というか相手の心(AIに心があればだが)の裏を読み合う、という展開が非常にスリリングで画面に強烈に引き寄せられる。まるで、チェスのように相手の真意を探り合い、また相手を騙すように誘導する会話群。これは、第一級の心理サスペンス映画である。さらに、この映画を傑出したものとしているのは、その素晴らしい映像美である。AIのエヴァ(アリシア・ヴィキャンデル)のセクシーさは、空山基が描くサイボーグのようである。アカデミー賞の視覚効果賞を受賞したのも納得させられる。ガーランド監督は、「登場した瞬間、他の映画に登場する他のロボットを思い浮かべない外見にすることを先ず重要視した」と話したそうだが、確かにとても斬新な外見であり、そしてとても魅力的でもある。これは、それを演じるアリシア・ヴィキャンデルの魅力とも繋がるであろう。映像美という点では、ネイサン社長の召使いをしているキョーコ(ソノヤ・ミズノ)というAIも大変美しく、その優雅な動きなどもヴィキャンデルとともに、AIという存在感の凄みを感じさせるような描写に繋がっている。2人の女優とも元バレリーナであるが、気弱そうな青年を演じる主人公といいキャスティングも絶妙である。また、映像美という点ではロケ地であるノルウェーのフィヨルド地域の自然美も素晴らしい。そして、何よりエンディングが痛快で、納得が行く。まあ、よく考えると不安な気持ちにはなるが、映画単体として観た場合、ストーリーは説得力があって読後感的なものは爽快である。私的には、『ブレードランナー2049』をも越えるほど面白かった。こういう作品にたまに出会ってしまうから映画は止められない。


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ブレードランナーのデッカードはレプリカントであることを知って、ちょっとがっかりする [映画批評]

ブレードランナーのデッカードはレプリカントかどうか。これは、「ブレードランナー」が1982年に公開されてからずっと映画ファンの間では議論となっていたテーマである。私は個人的に、いや、デッカードがレプリカントだとちょっと面白くないよな、という考えから人間でしょうと思っていた。人間がレプリカントのレイチェルに恋して逃避行、というシナリオは、話として魅力的であったからである。しかし、この映画界の大きなディベート・テーマについて、監督のリドリー・スコットはあっけらかんにレプリカントだよ、と次の動画で述べている。
https://www.youtube.com/watch?time_continue=340&v=jMG3fOsIBgA

しかも、この動画では、彼がレプリカントであることを視聴者に伝えるような工夫もしていることを述べている(ユニコーンの夢や折り紙を手にするときの描写で伝えようとしたようだ)。

そうだったのか。しかし、そうすると「ブレードランナー2049」で登場するデッカードとレイチェルの子供というのは、人間とレプリカントの混血ではなく、純粋にレプリカント同士の子供、ということになる。それはそれで衝撃的ではあるが、人間とレプリカントの子供というほうが、人間文明的にはインパクトが大きいと思われる。これまでの議論に終止符が打たれたのはいいが、ちょっとだけ落胆している自分もいる。



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菊次郎の夏 [映画批評]

1999年の北野武の作品。久石譲の作曲するメインテーマの「Summer」が非常に印象深い作品である。映画は前半部分こそストーリーもしっかりしていて、9歳の子供と、彼の母親探しを付き合うチンピラでハチャメチャの中年男性との珍道中で興味を引かれるが、母親との辛い再会の後は、グレート義太夫と井出らっきょというたけし軍団の中でも超いじられ役がひたすらたけし演じる主人公にサディスティックにいじられるという、テレビのバラエティ番組と同じような演出が延々と続き、面白くないとは言わないが、ストーリー性はない。完璧な内輪ノリであり、これでカンヌ国際映画祭に参加したということにちょっと驚く。映画としての構成力に関しては弱い作品であるのと、こういう情緒的な作品とたけし映画のバイオレンス性はあまり似合わないということにも気づかせられた。偽悪者を演じたらたけしは、相当いけると思うのだが、後半の部分の遊びがむしろ映画の質を落としてしまい、たけしの味までも殺してしまっている印象を受ける。


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タグ:菊次郎の夏
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ブレードランナー2049 [映画批評]

 ほとんど映画館に行かない私であるが、この作品は流石に映画館で観るべきであろうとわざわざ映画館にまで出向いて観た。いつもコンピューターの15インチの画面で観ているのと比べると、集中して映画の世界に没頭されるので有り難い。さて、映画に関してであるが、2019年(というか現在より1年後!)のブレードランナーの30年後の世界が舞台である。前作では、デッカードがレプリカントのレイチェルと逃避行へと旅立ったところで終わっている。
 ブレードランナー2049は、この2人の存在が非常に重要な、というか人間とレプリンカントとの関係を大きく変えるような役割を担っている話になっていた。前作にはなかったニュータイプのキャラとしてホログラムのヴァーチャルなジョイという女性?が出てくる。このジョイを演じるキューバ女優アナ・デ・アルマスはアニメ系の美少女で、相当魅力的である。
 そして新たなブレードランナーKとデッカードとのやり取り、ウォレス社で働くレプリカント、ラブとKとの壮絶な格闘、さらにデッカードとレイチェルの子供の存在など、続編は前編を収束させるどころか、一つの疑問の答えが見えると新たな疑問が提示されるようなストーリーになっている。ということで、確実に続々編がつくられることになると思う。あまり、感想にはなっていないが、この作品は次の続編を観ないと、最終的な感想を述べるのを躊躇させる。ある意味、中途半端であるともいえるかもしれない。

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『眺めのいい部屋』 [映画批評]

1986年のイギリス映画。この映画の見所はフィレンツェ、そして南東イングランドの田園地帯の風景の美しさであろう。特に前半のフィレンツェの映像は、その都市の魅力を見事に描き出している。主演のヘレナ・ボナム・カーターは、現在ではハリー・ポッターの超ヒールであるベラトリックス・レストレンジや、レ・ミゼラブルのテナルディエ夫人、さらにはティム・バートンの作品群でのあっち側に行ってしまったような役が多いので、そのようなイメージが強烈だが、この作品では初々しいお嬢さん役を見事に演じている。しかし、そもそも出自は銀行頭取のお嬢さんなので、昔はこれが彼女の地に近かったのであろう。そういう点でも興味深い作品である。あと、この映画の一つのハイライトとして男性群が聖なる湖(池)で裸になって戯れるというシーンがあるのだが、イギリス人も日本人の温泉のようなカルチャーがあるのかということを知った。もちろん、一般的ではそれほどないのでこのような映画のシーンになったのであろうが、裸で温泉などに入るということはもしかしたら、それほど文化的に外れていないような印象を受けたりもした。ただ、このシーンは、公開当時は倫理的な観点からカットされ、ジョージの開放的で素直な性格を表現した重要な場面が飛ばされてしまったので、その後のストーリー展開が分からなくなってしまったと思う。この点は残念である。あとDVD的には、日本語訳でコンスタンチノープルをトルコと訳しているのだが、コンスタンチノープルとトルコはちょっと違うのではないか、と違和感を覚えた。コンスタンチノープルは、東西文化の交流都市であり、トルコとはイメージが全然、異なる。日本で言えば、京都に行く、というのを日本に行く、と訳してしまったようなものなのではないか。他にも字幕の訳は、ちょっとエッと思う点が少なくはなかった。この点も残念。


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「サンダードーム」 [映画批評]

マッドマックスの「サンダードーム」を今さらながら観た。メル・ギブソンがマックスを主演した最後の作品として位置づけられるのかもしれないが、最新作の四作目の方が遙かに優れていると思う。ハラハラさせられるところもなければ、物語の展開に引き込まれるようなところもない。ティナ・ターナーは相当、魅力を放っていて、それに関してはプラス評価であったが、それ以外は、バギー・カーのデザインぐらいかな。オッと思ったのは。ということで、マッドマックスのシリーズの中では相当、今ひとつの作品なのではないでしょうか。というか、むしろ4作目の素晴らしさを再確認させるような作品である。それだけ駄作であるとも言えるかもしれない。

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マッチポイント [映画批評]

ウディ・アレンの2005年の作品。「ミッドナイト・イン・パリス」、「ローマでアモーレ」、「それでも恋するバルセロナ」など、ヨーロッパ大都市ロケ編の嚆矢となるロンドン版。相当、ハラハラさせられる展開に、ちょっと驚きの結末。いや、この結末は「ウディ・アレンの重罪と軽罪」と似ているので、それを観たことがあると、それほどまでは驚かないかもしれないが、そうでないとやられたと思うかもしれない。映画の重要なシーンにて流れるオペラが重苦しく、アレンのシニカルな側面が強烈に出た作品ではあるが、そのストーリーの組み立ては素晴らしく、画面に引き込まれる。しかし、このシニカルさはアメリカ人的ではなく、むしろこの映画の舞台となったイギリス人的である印象を強く受ける。


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人生フルーツ [映画批評]

映画「人生フルーツ」を観る。高蔵寺団地や東京の杉並区の阿佐谷団地などを設計した、都市計画家津幡修一さんと奥さん英子さんとの郊外での生活を描いた作品である。
 その暮らしぶりは、スローフードであり、サステイナブルであり、自然と共生しており、アンチ消費主義であり、そして何より高齢者であっても自立している。この郊外における田園生活は素晴らしい。一つの理想の暮らし方といってもいいであろうし、それはまさにエベネザー・ハワードが田園都市論で提示した「都市と農村の結婚」とでもいうべき美しいライフスタイルである。その暮らしを自らが設計した高蔵寺団地で実現させている津幡夫妻は流石であるし、この暮らしと、実際の日本の郊外のニュータウンの「貧相な」暮らしとを対比すると、その違いとに愕然とさせられる。
 私は以前、日本において郊外住宅地がアメリカのように不動産価値を得ることができなかったのは、郊外のライフスタイルという商品を価値あるものとして人々に訴えることができなかったからだ、と書いたことがある(「米国で始まった郊外の再生」Future of Rear Esatate, 2003 Autumn)。しかし、この映画で描かれている津幡夫妻の暮らしは、まさにこの人々が理想としたくなるような郊外生活を自らが設計に携わった高蔵寺ニュータウンで実現させているし、具体化させようとすれば出来ることを知らされて、まさにショックを受けた。
 私は大学の教員になる以前、コンサルタント会社で働いていたが、直属の上司が「郊外論」で名を知られた三浦展氏であり、彼の舌鋒鋭い郊外批判に強い影響を受けてきた。また、90年代前半にアメリカの大学で都市デザインを学んだのだが、その当時、ニュー・アーバニズムが論説を席捲しており、その郊外批判にも随分と影響を受けた。
 したがって、郊外は人間らしく住むには適していない環境であると今まで、思っていたのだが、そのような考えが浅薄であったことが、この映画、というか津幡夫妻の暮らしぶりによって思い知らされることになる。彼らの暮らしは、溢れるほどの「豊かさ」に満ちている。そして、その「豊かさ」は大都市ではとても得られることができない。
 それでは、なぜ、多くの人達はこのような「豊かさ」を郊外において実現できないのであろうか。それは、やはり、その開発のあり方に問題があったと思うのである。住宅開発をすることで、少しでもお金を儲けようといったインセンティブが優先され、そこで暮らす人が素晴らしい生活を送るうえでの舞台、環境といった考えが二の次になってしまったことが原因ではないだろうか。少なくとも津幡氏のように、そのような「豊かな」生活環境を設計できる優秀な設計者がいたのである。それなのに、そのような設計が二の次になり、効率性や採算性といったことが優先されてしまったのではないだろうか。広告の中だけの「豊かさ」だけを求めて住宅を購入し、消費者然として自ら「豊かさ」を創造しようとしなかった住民にも問題があるのかもしれない。津幡夫妻の「豊かさ」をつくりだしているのは、間違いなく、この夫妻であるということも映画は見事に描写している。
 東京では、彼がマスタープラン設計に携わった阿佐ヶ谷住宅が、最近、再開発のために壊された。阿佐ヶ谷住宅のその住宅の質の高さは、私も指摘してきたが、それに関しては、東京大学の大月教授が鋭く指摘している。ちなみに、郊外論批判の三浦展氏も阿佐ヶ谷住宅は絶賛している。そのような素晴らしい住宅でさせ壊され、野村不動産のマンションが建ってしまうのである。阿佐ヶ谷住宅は素晴らしい公共性を有していた。現在は、それらの公共性は失われてしまっている。そのような公共性を犠牲にする開発を進めさせる行政にも問題があるだろう。
 「人生フルーツ」に心を揺さぶられたならば、今でもまだ多少残っている、これら「豊かな都市空間・生活空間」を維持することに力を入れるべきではないだろうか。立石駅の南口の商店街などや、下北沢の駅前(これはもうほとんど臨終状態かもしれないが)などの開発も、そのような「豊かさ」を破壊する都市開発行為であるだろう。
 観る者に感動を与える素晴らしい映画作品であると思うが、同時に、津幡夫妻の生き様は、現在の我々の置かれている状況を鋭く批判しているとも捉えられる。

下記HP参照。
http://life-is-fruity.com

IMG_9263.jpg
(この素晴らしい公共性を有した「素晴らしい生活環境」の阿佐ヶ谷住宅も結局、壊されてしまった)

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パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊 [映画批評]

機内でパイレーツ・オブ・カリビアンの5作目、『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』を見た。あまり期待もしなかったのだが、単純に楽しめた。ジェットコースターに乗ったような感覚とでもいえばいいのだろうか。心に残るようなシーンも感動するようなストーリーも一切なかったが、なんかすっきりと楽しめる。少年ジャンプの漫画の方が内容も濃いような気がする中身の無さだが、まあ、たまには頭を空っぽにして楽しめるような映画も悪くはないかもしれない。100%娯楽作品ではあるが、娯楽作品の中では質は高いような感想を抱いた。ハリウッド映画の典型であるような作品であろう。

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ティファニーで朝食を [映画批評]

 オードリー・ヘップバーン主演の1961年の映画を、今さら観た。自由気ままに無責任に生きる主人公のホリーの生き様、そしてオードリーの演技は、私の年齢のせいなのかもしれないが、まったく惹きつけるものもなく、なんでこのような女性に男性が惹きつけられるのかを理解するのが難しかった。しかし、おそらく1960年代という時代においては、彼女のように解放された女性というのはステレオタイプを打破した魅力的な女性と映ったのであろう。日本では『東京ラブストーリー』の赤名リカが、当時、女性の新しい生き方を日本人に提示したかと思うが、そのようなインパクトをホリーもアメリカ社会に与えたのかもしれない。ということで、1960年代のアメリカの世相を知るうえでは、興味深いかもしれないが映画は個人的には面白いものではなかった。
 あと、このホリー役のオードリー・ヘップバーンはミス・キャストだと思う。男を振り回す頭は軽いが魅力的な女性という役にオードリーは不適である。あの鼻筋が綺麗に通って、深遠力があるような魅力的な眼は、どうしても知性を感じさせてしまう。というか、本人は英語以外にも4ヶ国語を操り、晩年をユニセフの仕事に捧げる、などホリーとは似ても似つかぬキャラである。演技をさせる、といってもどうしてもその人の本質のようなものが滲み出てしまうだろう。これはマリリン・モンローが演じたら、むしろもっとずっと作品としても説得力があって魅力的なものになったのではないか、と思わずにはいられない。
 さて、この映画のもう一つ興味深い点は、映画の流れからは本質的ではないが、日系人(日本人)ユニオシの存在である。怒りっぽく、信用できず、黒縁、出っ歯、低身長といったユニオシの演出は、当時のアメリカ人の悪意というか侮蔑的な日本人のイメージが描かれていて興味深い。私は少年時代、アメリカで過ごしたので、こういうように日本人がアメリカ人に見られているということはよく理解できるが、日本人はちょっとこの点についてあまり自覚していないと思われるので、この映画は1960年代のものではあるが、我々はこのような差別対象であるということは理解しておいた方がいい。差別をされる側にいることを理解すれば、中国人を差別する気持ちがいかに醜悪であるかが分かるであろう。
 あと、もう一つ、この映画で唯一、いいかなと思ったのは、映画全般を通して流れる「ムーン・リバー」である。特にヘップバーンが歌う「ムーン・リバー」の場面はよかった。それを除くと、アメリカ研究者かヘップバーン・ファン以外は他の映画を見たほうがいいような気がする。


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セントラル・ステーション [映画批評]

 映画はそれほどではないが、人並みに観る方だと思う。私は集中力がないので、なかなか映画を2時間、見続けることが苦手である。しかし、この1998年に制作されたブラジル映画には本当に惹きつけられた。心を揺さぶる力を有した傑作である。こういう映画を観ると、映画の持つ凄まじい力を思い知らされるし、映画は素晴らしい芸術であるとも思う。ただ、問題は滅多にそういう映画に出会えないということだが。
 本作品を魅力的にしているのは、主人公のフェルナンダ・モンテネグロの演技であることは間違いない。小悪人ではあるが、根っからの悪人にはなりきれない。そして、心の底にあった良心というか優しさに突き動かされて行動していると、最後にその暗闇に被われていた心に光が点る。生きていくのも厳しいブラジル社会の中、このような良心が人にあるということが、明日への希望へと繋がる。観た者の心にも小さな光を点す感動的な作品である。また、この映画はロード・ムービーでもあり、リオデジャネイロの街並み、ブラジルの荒野、ブラジルの片田舎などを主人公と一緒に旅しているような気分にもさせてくれる。これも、日本人にとっては大きな魅力であると思う。


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ゴースト・イン・ザ・シェル [映画批評]

スカーレット・ヨハンソン主演の実写版ゴースト・イン・シェルを観る。アニメの「ゴースト・イン・ザ・シェル」は素晴らしい傑作であると思う。ということで随分と期待をして観た。さて、ストーリーはアニメ版とは結構、違うものとなっていたが、それなりに楽しめた。特に、香港のような近未来的な都市の描写は素晴らしく、ブレード・ランナーの都市描写を初めて見たときと同じような感銘を覚えた。総じて、映画は楽しめたのだが、本質的ではないところで2点ほど。一つは、スカーレット・ヨハンソンは現在を代表する女優であるが、私はどうしても彼女がそんなに美人に思えないのだ。いや、演技は上手いし、あの低音の声はなかなか色っぽいとは思ったりもするが、どうも鼻の膨らみが美人の条件を満たしていないように思ってしまうのだ(本当にどうしょうもないことを書いて申し訳ない)。あと、タケシと桃井かおりという日本勢が出演していて、私も観ていて嬉しくなったりするのだが、演技がずれているような印象を受ける。これは、おそらく彼ら、彼女らの演技が今ひとつなのではなく配役ミスなのではないかと思う。特に、桃井かおり特有の気怠い演技は、ストーリーから緊張感を削いでしまっている。せっかく、秘密を解く鍵となるようなクライマックス的場面なのに、この点はもったいないことをした印象を受けてしまった。これは、バトー役のピルウ・アスベックがまさに嵌まり役であるのと極めて対照的である。

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『帰ってきたヒットラー』 [映画批評]

この映画は凄い。2012年に著された小説をもとに2015年に映画は公開された。ヒットラーというドイツ最大のタブーを直視しない「ポリティカル・コレクトネス」を意識し過ぎていることで、ドイツ社会はむしろ欺瞞的になっていることを風刺する、という視点が極めて刺激的であるが、何より、現在のトランプのアメリカの状況を予言しているかのようなストーリーに引きずり込まれる。映画の最後の方で「私を選んだのは国民である。選挙をやらないとでも言うのか」とヒトラーが語るのだが、それはまさにトランプ大統領を選んだアメリカのことを示唆しているかのようである。トランプのハチャメチャから目が離せない私は、そういう視点でこの映画を見て大いに楽しませてもらったが、そのような問題意識がない人にとっても単純に楽しめるようなストーリー展開になっており、見て決して後悔しないであろう。個人的には久しぶりの大ヒットであった。

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東ベルリンから来た女 [映画批評]

ドイツ映画らしい重厚な作品。医師という職業倫理を優先させるのか、恋人との自由社会での将来を取るのか。社会主義という雁字搦めの社会の中で、いかに自分の意志を貫き通すことができるのか。その葛藤の中で揺れ動く女医を演じるニーナ・ホスの演技は、観るものにも緊張を与えるほどの存在感を放つ。ただ、映画はその後の展開が予断を許さないような状況で終わってしまう。その後、どうなるか大変気になる。1980年を舞台にした作品だが、その10年後に壁が崩壊して、この旧東ドイツの監視体制も瓦解する。人類の歴史は、人間性を抑圧しようとする動きと、それを押し返そうとする動きとの不断なる対立の歴史なのだな、と共謀罪が議会を通った国に住む人間としては鑑賞後、感慨深い思いを持ったりした。

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『新幹線大爆破』 [映画批評]

高倉健、宇津井健の名優の演技は素晴らしい。全般的に話のリアリティには欠けるし、速度が遅くなると爆発するという新幹線に仕掛けられた爆弾といった全体的なストーリーは優れてはいても、個々のストーリーのシナリオは陳腐ではあったが、それを補う俳優達の演技と音響を含めた演出は最後までスリリングな緊張を観るものに維持させる。ただ、最後の終わり方はないであろう。おそらく、どのように終わらせるのかがいろいろと議論があったのかもしれないが、尻切れトンボになってしまった印象は拭えない。途中まではわくわく観ていたところもあったが、エンディングで脱力をしてしまった。


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『ある結婚の風景』 [映画批評]

4時間以上もある作品。スウェーデンの映画監督イングマール・ベルイマンによる1973年の作品。6つの章に分けられた構成になっており、章ごとにエンドロールが入る。このエンドロールが、映画の緊張感をほどよく和らげる効果を有している。この緊張感とは、次がどのように展開するのか分からないサスペンス映画が観る者に与えるようなものである。ただの夫婦の話であるにも関わらず、そしてほとんどが二人の会話だけで話が進んでいくだけなのに、次にどうなるのか、ハラハラとさせられる。しかし、夫婦というもの、結婚生活というものは、詰まるところ傍から見るとそのようなものなのかもしれない。個人的には、旦那の子供への愛情の恐ろしい欠如、さらには妻への情のなさ、というか自分のエゴだけを最優先に捉える身勝手さに不快感しか覚えなかったが、そういう自分も傍からみるとそう思われるのかなとも考えたりもした。結婚という行為の不合理、矛盾などが見えつつも、離婚してしまうことの不合理なども考えさせられる、なかなか深遠な作品であると思われる。





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『ホット・スポット』 [映画批評]

デニス・ホッパー監督の1990年の映画。田舎町にふらっとやってきたハリーと社長夫人の娼婦的なドリー、そしてハリーと同じカー・ディーラーで事務をしている若くて美しいグロリアの三角関係と、田舎町でのブラックメイル、銀行強盗などの様々な人々の駆け引きと裏切りがスリリングに展開する。ドリーの悪女ぶりは、「氷の微笑」のシャロン・ストーンを上回る。エンタテイメント性が極めて高いハリウッド映画的なジャンルでは傑作であると思われる。


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『渋谷』 [映画批評]

藤原新一の原作ということで期待をして観たが、期待に添う内容の濃い映画であった。綾野剛はどちらかというと、エンターテインメント色の強い作品に出ている印象が強かったが、この映画における演技の巧さ、存在するだけでつくりだす空気感はカリスマ性に溢れていて、彼一人で、この映画のストーリーをつくりあげていたといっても過言ではない。内容的には、プリクラが流行った時代の作品かなと思ったが、最近の作品であったのは意外であった。このようなストーリーをつくりあげるだけの魅力を今の渋谷が発信できているとは思えないからである。いや、これは個人的な偏見だけかもしれない。渋谷から足が遠のいて結構、久しいからだ。


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タグ:渋谷 綾野剛
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『君の名は』 [映画批評]

遅ればせながら、今年の邦画シーンの話題をさらった『君の名は』を観た。男女の心と体が入れ替わるという設定は、よくあるラブコメかと思っていたのだが、内容は遙かに深く、観ていて飽きることはなかった。あと、アニメの背景描写が尋常ではなく美しい。観ているこちらがため息をつくほど風景などの描写が綺麗で、内容のよさに加えて、この作品の完成度を極めて高いものにしている。それは、実写映画でいうところの優れたカメラワークに通じる。さすが人気を博しただけあるクオリティの高さであった。

タグ:君の名は
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シン・ゴジラ [映画批評]

この夏、話題となっていたシン・ゴジラを観る。ゴジラの暴れっぷりもなかなかよかったが、やはり面白いのはゴジラの出現によって慌てて対応する人間模様である。ゴジラが暴れているのに意思決定が全然できない役人達の姿は、福島の原発事故に適切に対応できなかった東京電力や官邸、経産省などを彷彿させる。その中で、特別チームがつくられ、どうにか東京に国連軍が核爆弾を落とすというシナリオを阻止できたというのも、吉田所長を初めとした一部の人たちの獅子奮迅の奇跡的な活躍で、福島の事故の最悪の事態を回避できたこととも通じる。

また、ゴジラが放射能をばらまき捲っているのと、それに対してSNSがその情報を拡散しているというのも福島の事故を想起させる。そういう意味で、福島事故を体験した日本人が観るとなかなか考えさせられる点が多い映画であるが、まあ、何がやはり凄いかといえばゴジラの暴れっぷりで、エヴァンゲリオンの使徒のような絶対的な強さを備えていた。科学力で対処しようとした点や、美人の理系秀才が活躍することなどの類似点も多い。一点、興醒めだったのはパターソン女史が100%日本人的な風貌の女優である石原ひとみであったこと(まだ、スザンヌとかの方が説得力があった)と、アメリカ人なのに難しいところは日本語でしゃべり、簡単なところは英語でしゃべっていたことである。普通、逆でしょう。

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『マイカル・ムアー・イン・トランプランド』 [映画批評]

 『マイカル・ムアー・イン・トランプランド』は、マイカル・ムアーがトランプの支持率が極めて高いオハイオ州のウィリムトンに単身乗り込み、そこでワンマンショーをする模様を収めた映画である。ワンマンショーの観客は、マイカル・ムアーのファン、すなわちヒラリーの支持者が多かったが、それでも中にはトランプの支持者もいて、周りがマイカル・ムアーの冗談に笑っている中、仏頂面を貫き通しているのが映像に捉えられたりする。ただ、そのような厳しい一部の視線を受けつつ、マイカル・ムアーは噺家のような見事なおしゃべりで、極めて上手に、観客の関心を惹いていく。
 基本的にはトランプを支持することは極めてよく理解できる、と相手の立場を慮りつつ、しかも、自分はヒラリーを贔屓している訳ではないと証拠を示しつつ、それでもヒラリーが大統領の資質を十二分に有しており、またヒラリーが大統領になることが結果的にアメリカのためになる、ということを説明する。そして、このショーでマイカル・ムアーはトランプの悪口を一度も言わない。
 マイカル・ムアーがなぜ、これだけ人々に好かれるのか。その理由が分かるような素晴らしいショーの構成である。そして、私はこの映画を観て、ヒラリーの政治家としての素晴らしさを知らされた。このショーの観客の多くが終盤で涙を流していたが、私もヒラリーは一部のマスコミが伝えるのとは異なり、まさにアメリカの大統領にふさわしい人材であるということを確認した。
 明日は大統領選。

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ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ [映画批評]

キューバで忘れられていたミュージシャンをスライド・ギターの名手であるライ・クーダーが再び集めて、レコーディングをしたアルバムが大ヒットした。この映画は、その成功を踏まえて、再びライ・クーダーがキューバを訪れ、それらのミュージシャンに取材をする。ミュージシャンのパーソナリティを浮き彫りにさせつつ、ハバナのノスタルジー溢れる街並みの写真をカットで入れているのが素場らしい。彼らの音楽を生み出しているのが、個々の秀でた才能だけでなく、彼らを育んだ風土であることが分かるような編集が為されている。映像監督は、『パリ・テキサス』でライ・クーダーとコンビを組んだロビー・ミュラー。映画と音楽も見事にシナジー効果を出している。ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブの面子が素場らしいのは勿論であるが、ライ・クーダーの音楽を愛する気持ちが観るものの心を揺さぶる。最後のマジソン・スクエア・ガーデンでのライブのクライマックスは感動的である。

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  • 出版社/メーカー: 東北新社
  • 発売日: 2012/11/29
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ザブリスキー・ポイント(砂丘) [映画批評]

去年の春にデス・ヴァレーにあるザブリスキー・ポイントを訪れたので、同名の映画『ザブリスキー・ポイント(砂丘)』を観た。『欲望』のイタリア人監督のミケランジェロ・アントニオーニが観た60年代後半のヒッピーカルチャーが全盛期のアメリカ西海岸が見事に映像に収められている。70年代のロスアンジェルスがとても牧歌的であることが印象的である。しかし、映画のストーリーは大したものはなく、あくまでも巨匠による映像美を楽しむといった姿勢で観るといいのではないかと思う。ザブリスキー・ポイントも美しいが、フィナーレのサグアロ・サボテンが林立するアリゾナの夕陽のランドスケープも息を呑むほど美しい。あと、個人的には、主人公の女優ダリア・ハルプリンがランドスケープ・アーキテクトの巨匠ローレンス・ハルプリンの娘であることは驚いた。アメリカ人はヘミングウェイもそうだが、その道の巨匠の娘が女優になるケースが多いような印象を受ける。


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  • 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
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スター・ウォーズを観て、宇宙人などのキャラのデザインを円谷プロに発注すべきだと思う [映画批評]

 スター・ウォーズの最新作「ウェイク・オブ・フォース」を観る。悪と正義とが交叉する、キリスト教的な絶対的な価値がないところが、スター・ウォーズの物語性のいいところである。スター・ウォーズの第一作で出てきたレイア姫やハンス・ソロ、スカイウォーカーなどが年を経て出てくるところは、私のように40年前にスター・ウォーズを観たものにとってはちょっと嬉しいが、レイア姫とか本当に普通のおばさんになっていて、お姫様のこうカリスマがほとんどなかった。というか、レイア姫の時点でまったくオーラがなくてミスキャストだと思っていたが、まあ、おばさんになっても王女的な権威がなくて、校長先生ぐらいのカリスマしかない。それに比べるとハンス・ソロのハリソン・フォードは毅然としていて格好よかった。
 さて、ストーリー的には実はそこそこ楽しめたのだが、何しろ宇宙人やロボットのデザインの悪さが相変わらず個人的には気になる。中学生の時に見た時にもC3POのだささには呆れたが、最新作でもまったくロボットも宇宙人もイケテいない。というか、魚とは虫類から発想し過ぎである。私を始めとした日本人はウルトラマンやウルトラセブン、仮面ライダーなどで素場らしく創造的で格好いい宇宙人や怪人などに見慣れているので、スター・ウォーズの宇宙人のダサさが本当に気になるのである。ペガサス星人やバルタン星人、ジャミラ、エレキングのような、こう衝撃的で脳裏に残るような宇宙人を是非ともデザインして欲しい。というか、デザインできないのであれば円谷プロとか日本人に外注すべきである。円谷プロが存在するかどうか分からないが、本当、スター・ウォーズを観るといつもここが一番気になる。こういうことを指摘する人を私はあまり知らないので、ここで記させてもらう。


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蒲田行進曲 [映画批評]

1980年代を代表する邦画の大傑作そもそもプロットが特別に素場らしいし、風間杜夫、平田満の演技力も秀逸だが、なんといっても松坂慶子の色気と妖艶さ、そしてコケティッシュという女性の両義性を見事に演じている点が凄まじい。ほろ苦さの中にも、心が温かくなるような人情喜劇。サザンオールスターズの曲もこの映画の雰囲気をいい感じに演出している。そして、何より最後のオチ。映画史上でも傑出したそのオチだけでも、観てよかったと思わせる。

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タグ:蒲田行進曲
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マッド・マックス:怒りのデス・ロード [映画批評]

マッドマックスの最新作を観る。荒涼とした風景を舞台に、水を占有しているボスが多くの人を奴隷のように従わせている近未来の物語である。「北斗の拳」のような内容である。この映画のストーリーは極めて単純だが、その未来像がとても面白いし、ファッショナブルである。特に戦いの時に、ヘビメタを演奏するためだけの車が出ているところや、若い戦士が銀のスプレーを口に吹きかけるところや、ボスの女奴隷達の美貌などが興味深い。ただ、初期のマッドマックスを演じていたメル・ギブソンの方が、本作のマッドマックスよりもずっと似合っていた。一方で女性ヒロインのシャーリーズ・セロンは凄い存在感である。彼女の演技は相当よく、マッドマックスが完全に食われていたように思われる。この映画は、何しろ映像美が素場らしい。それだけでも大いに楽しめる映画であろう。


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『ターミネーター ジェネシス』 [映画批評]

 ターミネーターの最新作。ターミネーターは時空を行ったり来たりできるので、新作ごとに新しいパラレル・ワールド的な展開ができるという点で、焼き直しが可能だ。そういう意味では、次回作がつくりやすい作品である。ただ、焼き直しをするたびに訳が分からなくなってしまうなと思うのは私だけではない筈だ。1作目と2作目は紛れもない傑作であった。ここで終わればよかった。2作目のラスト・シーンは相当、感動ものであった。しかし、3作でまた復活させると、もうあとはぐだぐだでストーリーに矜持もくそもない。突っ込みどころが満載だ。それでも、まあギャグ的なノリでこれまでは観ることができたが、今回は酷い。ネタバレになってしまうが、主人公である息子までが悪者になってしまうというのは話の骨格をぐらつかせすぎである。ここまでパラレル・ワールドにフレームワークがなくなってしまうと、もう機械が勝とうが人間が勝とうがどうでもいいかな、と思わせる。ターミネーターが最後のシーンがあるのだが、何かこじつけて次作で復活させるんだろうな、と思っていたら、この映画が終わる前にもう復活していた。もう、ここまでくるとターミネーターはストーリーではなくて、ターミネーターという映画のシナリオ・コンペの各作品を観させられている印象さえ受ける。問題なのは、最初の2作までしか傑作がないことである。

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