So-net無料ブログ作成
検索選択

『この世で一番おもしろいミクロ経済学』ヨラム・バウマン著 [書評]

本書は短時間でミクロ経済学を概観するにはうってつけだと思う。「この世で一番おもしろい」とは思わないが、要点を抑えており、余計なこともほとんど書かれてなく、漫画のような挿絵が多いので、イメージも得やすい。ミクロ経済学がつまらにと思っている人は、これを読むといいと思う。なかなか、ミクロ経済学って面白いと興味を持ってくれるのではないだろうか。あと、こういう本は日本語訳が今ひとつの場合が多いが、この本の訳者は相当、優れていると思われる。そういう点からもとても読みやすいと思う。


この世で一番おもしろいミクロ経済学――誰もが「合理的な人間」になれるかもしれない16講

この世で一番おもしろいミクロ経済学――誰もが「合理的な人間」になれるかもしれない16講




nice!(0) 
共通テーマ:日記・雑感

岡崎京子『東方見聞録』 [書評]

『ヤングサンデー』で1987年の創刊号から14号まで連載された作品。佐藤黄緑と山田吉太郎というハイ・ティーンのカップルが銀座・国会議事堂・中野・国立・原宿・江ノ島・井の頭公園・青山墓地・神田神保町などを訪れて、主に佐藤黄緑の視座を通して、町の様子が描かれている。岡崎京子のその後の作品にみられるような過激な描写はなく、ホノボノとした描写が続き、ちょっと心和む。とはいえ、『リバーズ・エッジ』で開花する東京を観る鋭さの萌芽がこの作品のあちこちに既に観察され、そういった観点からも興味深い作品であると思われる。


東方見聞録―市中恋愛観察学講座

東方見聞録―市中恋愛観察学講座




nice!(0) 
共通テーマ:日記・雑感

『呑めば、都』 [書評]

一橋大学教授でジャズ・ピアニストのマイク・モラスキーの東京居酒屋本。その日本酒への造詣の深さ、東京の街(ネイバーフッド)の歴史を精緻に調べるアカデミズム、さらには居酒屋への溢れんばかりの愛情が、行間からあふれ出ている。それは、居酒屋でなかば慣習化した注ぎすぎで、グラスから溢れ出る日本酒を彷彿とさせる。日本人より居酒屋と日本酒と、東京の街を愛するアメリカ人オタク研究者による珠玉のエッセイ。読むと無性に呑みに行きたくなります。


呑めば、都―居酒屋の東京

呑めば、都―居酒屋の東京




nice!(0) 
共通テーマ:日記・雑感

『香港』倉田徹等 [書評]

2014年秋に起きた香港の雨傘運動の背景を理解するために、日本人と香港人の著者等は香港の歴史、そして文化等を分析することで、それを解読していく。そこから出てきたキーワードは、中国を常に意識することによって育まれてきた「自由」への希求である。それは、まず「生存する自由」であり、それから「儲ける自由」へと進化し、さらに「文化の自由」へと続くと著者は分析する。そして、雨傘運動が起きたのは、中国の台頭によってその「自由」が不安定になったことで、むしろ強く求められることになった「自己決定の自由」であると著者らは考察する。本書は、この中国という不自由な枠組みの中で、自由を希求して戦う香港人からすると、日本は民主政治の制度を持っていても、その政治的無関心から、その自由は「錆びつき、劣化」していると結びで述べている。「雨傘運動」、そしてその背景を解読するキーワードとして「自由」という概念を駆使して、香港の姿を浮き彫りにさせる興味深い本である。

香港 中国と向き合う自由都市 (岩波新書)

香港 中国と向き合う自由都市 (岩波新書)




nice!(0) 
共通テーマ:日記・雑感

今井幸彦編『日本の過疎地帯』 [書評]

 1968年に出版された岩波新書。今井幸彦氏は共同通信者の社員であり1918年生まれ。1981年に鬼籍に入る。ほぼ50年前に書かれた本であるが、現在の日本が抱える人子減少問題を先取りしている。そして、この本において指摘されている過疎地域が抱える問題は、現在でもまったく解消されていないどころか深刻化し、さらに全国的に広がっている。作者は、この過疎という現象を病に例え、「なにか中世におけるペストのように思われてきた」と述べている。それはペストのように「人々はその原因も予防も、治療法も知らず、町の辻々に火をたいて空気が浄化されると思い、あるいは魔女の仕業だと罪もない何千何万という女性がつぎつぎに殺されたり・・(中略)。しかし、違っている点は、過疎とは、これをなんとしてでも食い止めなければならぬものなのかどうかさえわかっていないことだ。」
 その答えは50年近く経った今でも、分かっていない。ただ、1968年に起きた過疎現象の要因は、エネルギー革命による炭焼きの需要がなくなったことが、特に山間部では大きかった。また、農村はもちろんのこと山間部や奥地も市場経済が浸食し、ライフスタイルを都市型に変えたい欲望が芽生え、現金収入を得るために仕事をする必要性が高まったことも大きい。さらには、過疎現象と並行して、都心部では圧倒的な労働力不足という状況にあり、単に過疎地から押し出す力だけではなく、引っ張り出す力も強烈なものがあった。1960年代は日本という国土の人口配置がパラダイム・シフトをするように大きく変化をしていった時代であり、地方における国勢調査の人口減少の比率は「地方消滅」といわれ始めた2010年〜2015年よりもはるかに大きなものであった。
 『道路整備事業の大罪』という下品なタイトルの本を著した私が大変、興味を抱いたのは、著者達が道路を整備すると過疎化が加速するといった現象がみられることを既に観察していることである。ちょっと引用したい。「つまり道路が整備され交通量が増大するに従ってこれら沿道諸部落の過疎化が促進されたことは、先に滋賀県葛川地区でみてきた通りで、交通機関の“革命”と、沿岸都市部への時間的短縮にあるとみられる。」(p.114)
 私が拙著で指摘したような状況は既に1960年代にみられていたにも関わらず、その後も「限界集落を守る」ために道路を頑張って整備して、結果、集落から人がいなくなるということを日本の道路事業は積極的にやってきたわけである。それを、改めて指摘をした私の本も認めない人が多いが、そうやって地方部を、都市を中心とした市場システムに組み入れ、地方を殺してきたというのが、日本の道路行政である。そういうことが既に1968年に著されていた本書にて指摘されていたというのは発見であった。他にも過疎化がストップをした事例は、民間人がリーダーとして頑張ったところであって、役場が頑張っても空回りをするだけだ、などの興味深い指摘がされている。
 現在の日本は一部の地域だけでなく、全国レベルで人口減少が進んでいるような状況であるが、その現状をしっかりと分析するうえでも極めて貴重な視座を本書は提供してくれる。そして、著者はこれは日本の大問題であると指摘しているが、現在からみるとはるかに牧歌的に見えてしまうのは、それだけ現在の日本が危機的状況にあることの裏返しであろう。 


日本の過疎地帯 (1968年) (岩波新書)

日本の過疎地帯 (1968年) (岩波新書)




nice!(0) 
共通テーマ:日記・雑感

スケッチ全国町並み見学 [書評]

本書は全国各地の特徴的な町並みを有する52カ所を選び、著者の味わいのあるスケッチ画とともに、それらの町並みの紹介がなされている。東京大阪などの大都市で生活をしていると、日本の都市景観・町並み景観は欧州などに比べると相当今ひとつであるなと劣等感に近い気持ちにさせられるが、本書で紹介されている町並みを知るにつけ、本来的には、日本人にも美しい町並みを創造することができる、また、そのために知恵を使うこともできる、ということに気づかされる。本書を読むと、早速、鉄道に乗って、これらの町を訪れたい衝動に駆られる。多くの若者に読んでもらいたい本である。


スケッチ 全国町並み見学 (岩波ジュニア新書)

スケッチ 全国町並み見学 (岩波ジュニア新書)




nice!(1) 
共通テーマ:日記・雑感

『くまモン力』亀山早苗著 [書評]

くまモンの熱烈ファンによる、くまモンへの熱烈公開ラブレター的な内容と受け止めることもできる、くまモン絶賛本。しかし、どうして、筆者はこんなにくまモンを好きなのか、客観的に分析して、そこからくまモンの魅力を著者なりに整理している。私はくまモンのファンではないが、くまモンがどうしてこんなに人気があるのかを知りたくて、本書を購入したのだが、くまモンファンの気持ちは理解できたような気がする。


くまモン力 人を惹きつける愛と魅力の秘密

くまモン力 人を惹きつける愛と魅力の秘密

  • 作者: 亀山早苗
  • 出版社/メーカー: イースト・プレス
  • 発売日: 2014/01/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



タグ:くまもん力
nice!(0) 
共通テーマ:日記・雑感

『私がくまもんの上司です』 [書評]

くまもんのことを知りたくて購入したのだが、くまもんの上司である蒲島熊本県知事の話が中心であった。くまもんのことも書いてあったが、本の全体の1/3程度である。実際、このような内容であることを事前に知っていたら買わなかったかと思うが、この蒲島知事は相当、ユニークな政治家であることが分かった。ということで、本自体の感想は、読んでも損でない、というかむしろ面白かった。また、くまもんの上司であるこの知事は、相当の切れ者である、ことも分かった。政治家の自伝書は眉に唾つけて読まなくてはいけないとは思うが、それを踏まえても面白い政治家で、私はちょっと興味を持ちました。




タグ:くまもん
nice!(1) 
共通テーマ:日記・雑感

セブン・イレブンおでん部会 [書評]

 この本は読んでいるとイライラしてくる。まず、タイトルは「セブン・イレブンおでん部会」であるが、おでんの話は9章中、1章だけであった。看板に偽りありだ。基本、この本は、セブン・イレブンがいかに加工食品の商品開発に力を入れているか、ということを手放しで絶賛している。絶賛のオンパレードである。確かにセブン・イレブンはその商品をよくするために一生懸命、努力をしていることは本書からもよく伝わってくる。その企業体としての姿勢は素場らしいものがあるなとも感じる。
 しかし、セブン・イレブンというコンビニエンス・ストアが、そこまで加工食品の商品開発に力を入れる必然性が社会にあるのか、というか、コンビニエンス・ストアに美味しいおにぎり、おでん、パンなどを期待するという社会は圧倒的に非効率で食文化的には貧困な社会なのではないか、という思いを、本書を読めば読むほど、強く抱いてしまうのである。あまり強く思ってしまったので、最後まで読み通すのが苦痛であったぐらいである。
 おでんは、おでん屋がつくればいいのである。美味しいメロンパンはパン屋がつくればいいのである。美味しい蕎麦を食べたければ美味しい蕎麦屋に行けばいいのである。コンビニエンス・ストアが我々の消費生活を豊かにしているのは異論がない。私もよく使う。しかし、おでんもメロンパンも蕎麦もおにぎりも買わない。いや、絶望的にお腹が減った時は、おにぎりは買う時があるのと、登山をする時にもおにぎりを買ったりはする。しかし、それ以外は買わない。
 なぜなら、おでんはおでん屋の方が遙かに美味しいし、家でつくったものの方が美味しいし、蕎麦も遙かに蕎麦屋、もしくは家で茹でた方がはるかに美味しいからである。サンドイッチもそうである。私が家でさささっとつくったサンドイッチは、セブン・イレブンのサンドイッチよりはるかに美味しい。なぜ、冷やし中華を家でつくらないで、コンビニで買うのだろう。いや、外食食べるから、という人がいるかもしれないが、そこらへんの中華料理屋で食べた方が絶対に美味しい。それは、料理を提供するという形態(注文してつくるのと、既製品としてつくられたもの)の圧倒的な越えられない差である。
 私はたまに他の郊外とかにある大学とかの会議や打ち合わせで、コンビニ弁当を食べざるを得ない時があるが、その時ほど食欲がなくなる時は滅多にない。そして、100%不味い。美味しいコンビニ弁当を食べたことは、サンプルは少ないが、一度もない。崎陽軒のしゅうまい弁当の方が遙かに美味しいと思う。
 まあ、他人がコンビニで何を買おうが構わないが、本書を読んで私が強く思ったのは、コンビニエンス・ストアが我々の消費生活を豊かにしようとすればするほど、我々の少なくとも食事のレベルは悪くなっているということである。
 最後にこの本は鈴木敏文会長と取材をしているが、この部分だけは読む価値がある。
最後まで苦痛をこらえて読んだことが、ちょっと報われた気分になった。 

nice!(1) 
共通テーマ:日記・雑感

井堀利宏『大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる』 [書評]

「1日で学べる」とかいう類の本はほとんどいい加減なのだが、本書は確かに10時間ぐらいの読書時間で、大学教える経済学のエッセンスがざっと理解できる、という構成になっていて、「看板に偽りなし」と言えるのではないかと思われる。もちろん、何も知らないでこれを10時間でよんでも理解できないかとは思うが、ある程度の経済的な素養、教養があれば、さっと理解することができるであろう。もちろん、「コースの定理」とか、言葉は出てきても具体的には一切、説明がされていないような点は不十分だが、これは逆にいえば「コースの定理」は、内容はわからなくても、ざっと経済学を理解するというレベルでは言葉さえ知っておけばいいということなのかもしれない。おおまかに大学で教えるレベルの経済学を概観するのには、無駄がなく、エッセンスが凝縮されている良書であると思われた。

大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる

大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる




nice!(0) 
共通テーマ:日記・雑感

加藤寛『日本再生最終勧告』 [書評]

 慶應義塾大学の名誉教授であり、また日本の経済政策において理論と実践面で多くの貢献をされてきた著者の遺作。「原発即時ゼロ」を見届けない限り、死んでも死にきれないと言う著者が「本書は私の遺言である」というだけあって、その主張は強く、説得力がある。本書は5つの章から成り、1章から4章までは日本の電力政策の歩みを概観し、原子力政策が進められてきた背景を浮き彫りにすると同時に、その非効率性、非民主主義性を明るみにする。そして最後の章では「自立分散型電源社会」をどうすれば実現できるのか、現状の課題とその対処法を提示している。さらに城南信用金庫理事長の吉原毅と東京大学大学院教授の江崎浩との対談、また特別寄稿として曽根泰教慶応義塾大学大学院教授の原稿が付け加えられている。
 本書を読むと、原発がいかに無駄であり、正義がないことがよく理解できる。公共政策を勉強するものにとってもためになる点が多く、お勧めできる。





nice!(0) 
共通テーマ:日記・雑感

江弘毅『街場の大阪論』 [書評]

「所謂「まち」あるいは「まちづくり」についての話は、そのスタンスが経済軸からのものであるのと、そうでないのではぜんぜん違った内容になってくる。すなわち街を「消費の場」および「ビジネスの場」としてとらえるのか、あるいは「生活の場」や「遊びの場」として見るのかの違いである。」
 伝説的なまち情報誌「ミーツ・リージョナル」の編集長を長年、務めた著者の視点は、圧倒的に後者である。まちを消費の対象として分析し、カテゴライズする世の中の流れで、まちの魅力が分かるないやろ、と言う彼の舌鋒は鋭い。消費の記号といった表層論では捉えられないまちの魅力を、論理的に解説する彼の考えに触れていると、自分もまちで何かしたくなるような気分にさせられる。本書は、まちを消費の場、ビジネスの場にさせてなるものか、といった気持ちを高揚させるアジテーション的な役割も果たしていると思う。


街場の大阪論

街場の大阪論




nice!(5) 
共通テーマ:日記・雑感

『社会的共通資本』宇沢弘文 [書評]

ノーベル経済学賞候補にもなったという噂もある日本を代表する経済学者宇沢弘文の新書。社会的共通資本とは「一つの国ないし特定の地域に住むすべての人々が、ゆたかな経済生活を営み、すぐれた文化を展開し、人間的に魅力ある社会を持続的、安定的に維持することを可能にするような社会的装置」である。本書は、この社会的共通資本の考え方と役割を解説し、その重要な構成要素である自然環境、農村、都市、教育医療金融といった個別な事例をとりあげ、持続的な経済発展が可能になるためには、どのような制度的前提条件がみたさなければならないか、著者の考えが提示されている。ただ、これらは新書にまとめられるような内容ではなく、そういった意味では社会的共通資本はどのような考え方ぐらいは分かるが、持続的な経済発展の可能性といった著者の考えは別書を参照することが必要である(例えば東京大学出版会の『社会的共通資本』など)。


社会的共通資本 (岩波新書)

社会的共通資本 (岩波新書)




nice!(0) 
共通テーマ:日記・雑感

集合住宅の時間 [書評]

東京大学の建築学科の大月教授が10年ほど前に書かれたエッセイをまとめたもの。月刊誌『住宅建築』の二年連載を改訂を加えて単行本にまとめたものだが、それは人々の生活の記憶のメディアである国内の魅力的な古き良き集合住宅を紹介したものである。全部で24章、24事例(最後の事例だけおばさんが事例となっている)から構成される。日本の「消し去りの文化」によって、貴重で魅力溢れる集合住宅がどんどんと消えていくことで社会が記憶喪失になっている危機意識をゆるやかに伝える。その緩やかさが逆に、その喪失の意味の深刻さを読者に気づかせる。


集合住宅の時間

集合住宅の時間

  • 作者: 大月 敏雄
  • 出版社/メーカー: 王国社
  • 発売日: 2006/10
  • メディア: 単行本



nice!(0) 
共通テーマ:日記・雑感

「街的」ということ – お好み焼き屋は街の学校だ [書評]

 関西を中心とする街雑誌『ミーツ』の前編集長が著した新書。情報化、カテゴライズ化されている街に対する違和感、消費のランドスケープとして街を捉えるようにすることが、いかに街の理解を遠ざけるか、街を楽しむ作法から離れていくのか、ということを指摘している。それは、街は消費する対象ではなく、街にいかに受け入れられるかを考えて、自分を街の仕様に合わせることこそ、街を楽しむポイントである、と述べている。
 また、魅力ある街は「何かやろう」という人が前触れなく突然出てきて、「自分でつくった店」を出汁、そこで「自分が好きなもの」をつくったり見つけてきたりして、「自分で流行させ」、そしてそのような店が集積することでつくられる、と言う。
「それは行政による再開発や鉄道会社の駅ターミナル造成、はたまたショッピングモールやファッションビルなどが建って、それが引き金となってできた類の街とは全く違った「仕方」で」できている、と言及する。
 非常に鋭く、街の本質を解説している本であると考えられる。





nice!(0) 
共通テーマ:日記・雑感

『自由が丘スイーツ物語』 [書評]

この本は単なる自由が丘のスイーツ本ではない。それは、スイーツをテーマとした消費文化論であり、またスイーツをめぐるマチ論でもある。自由が丘というマチになぜ、スイーツ店が集まり、ユニークで個性的な魅力あるスイーツ店がつくられたのか。その要因分析をしているのだが、それはチェーン店ではなく、個店であるから。また、大企業ではなく地元の商店街がしっかりと拘った街づくりを展開してきているからだ、と言及している。自由が丘はお洒落だが、浮ついた腰の座っていないミーハーなマチというイメージがあるが、実態は企業ではなく地元の人達が、自主独立精神とチャレンジ精神で、本気で商いを展開してきたマチである。だから魅力があるのだが、本書は、その本質を見事に掴んでいる。自由が丘に住んで、都市を対象とした研究をしているものとしては、「この著者、相当、切れ者である」という印象をこの著書からは受けた。文献もしっかり押さえているし、相当数の取材もこなしている。消費文化論に関しても、ちゃんと流れを把握しており、その流れの中でいかにして日本人が洋菓子を受け入れてきたのかを分析し、整理している。しかし、それを重くせずに、スポンジケーキのようにフワッと論じているので読みやすい。口当たりはフワッとしているが中身は濃厚。まさに、この本で書かれているモンサンクレールのセラヴィのような味わいの本である。

ただ、素場らしい内容ではあるのだが、著者がこの本でお勧めとして紹介した3店のうち2店はもう閉店になっていた。出版してから5年で、著者の眼力に適ったお店が2店も潰れてしまうというのは、この街の厳しさを示唆していると思われる。


自由が丘スイーツ物語―ケーキで人を幸せにする街

自由が丘スイーツ物語―ケーキで人を幸せにする街




nice!(1) 
共通テーマ:日記・雑感

岡部明子『バルセロナ』 [書評]

著者は東京大学の教授であるが、それ以前、磯崎新建築事務所の番頭として、バルセロナで10年間ほど働いただけあって、単にアカデミックな視点で丁寧にバルセロナを描写しただけでなく、生活者としての視点からもバルセロナを捉えており、バルセロナという世界でも最も魅力溢れる都市の特徴を時間軸、空間軸から見事に整理している。バルセロナのこれまでの歩みを理解できるだけでなく、なぜ、ここまで魅力を放つことに成功したのか、その背景を知ることができる素場らしい著書である。都市の語り部としての著者の力量の凄さが滲み出ている力作である。


バルセロナ―地中海都市の歴史と文化 (中公新書)

バルセロナ―地中海都市の歴史と文化 (中公新書)




タグ:バルセロナ
nice!(0) 
共通テーマ:日記・雑感

『キャラクター・パワー』 [書評]

 なぜ日本人はキャラクターが好きなのか、という問題提起のもと、キャラクターをもとに国際文化比較論までをも展開する。しかし、その比較論の分析は出鱈目に近い。というのも「本家アメリカと日本の大きな違いは、アメリカでは、大人になると一般的にはキャラクターから卒業していく傾向があるのに対して、日本では、大人もキャラクター好きであってもおかしくないことです」という仮説に基づいているからである。キャラクターの収集癖は、アメリカでも大人になってもする人は多い。例えば、ゆるくはないかもしれないが、ティム・バートンのナイト・ビフォア・クリスマスのキャラクターを集める大人はたくさんいるし、カリブの海賊のキャラクターのコレクティブルを集める大人はたくさんいる。つまり、この著者はあまり海外のことを分かっていないのである。そのようなことは、ハーレーダビッドソンの解説で如実に分かる(p.153)。ここで著者は「(ハーレーダビッドソンは)ロックグループの大物で麻薬やスキャンダラスな事件をおこしているローリング・ストーンと組み合わされることで、そのイメージはより鮮明なものになりました」と書いているが、ハーレーダビッドソンが組んだのは雑誌の「ローリング・ストーン」誌であって、バンドのローリング・ストーンではない。こういうことも分かっていなくても、平気で本にできる人が大手広告代理店で働いていたり、大学の教員になれたりするのか、というのがちょっと驚きである。
http://www.rollingstone.com/topic/harley-davidson

 そのような知識のもとに「日本はキャラクター先進国として特異な発展を遂げたのでしょうか」などの持論を展開されても、白けるばかりである。ボードリャールとかジャック・ラカンなどの説をところどころに入れて、信憑性を高めるような手法も嫌だなあ。
 私は間違えてこの本を学生に課題図書として読ませてしまったのだが大失敗であった。そのうち、私がこの手の本を書かなくてはいけないと思わせるほどの駄本である。




nice!(3) 
共通テーマ:日記・雑感

『孤独のグルメ2』 [書評]

 人は生きるために食べなくてはならない。したがって、食べることは真剣勝負である。私が会社で新人の時、部の人は皆そろって駅地下の不味い定食屋に行っていたが、一人だけこのグループに入らず一人で食事に行く先輩がいた。私は先輩に「何で一緒に行かないんですか」と言うと、「人生は短いのに、あんな不味い昼食を食べているのは人生への冒涜だ」と返事をしたので、「私も連れて行って下さい」と彼と一緒に昼食をするようにしたことがある。その先輩はしばらくして会社を辞めたのだが、私はたかが勤務中の昼食でも、このメンタリティをしっかりと持って食事に臨みたいと今でも思っている。さて、孤独のグルメの主人公であるゴローさんも食べる(生きる)ことには真剣勝負である。ただ、基本的には自分でつくるのではなく、誰かがつくったものを食堂という場所で食するのが基本だ。したがって店選びがとても重要で、そして、その後はメニュー選び。この選択をするという行為をゴローさんは真剣にする。しかし、決して優柔不断でもないし、また選択する対象に対しては謙虚である。しかし、思えば、我々の人生は選択の連続である。その選択というスリルを食事を通して、我々に伝えてくれているのではないか、と思ったりする。そこが、この漫画の面白いところであると思う。
 さて、ただし、本作、一作目に比べると、ちょっとその選択が安易になりつつあるような印象を受ける。あと、落ちがほとんどの場合、食欲を抑えられずに「食い過ぎた−、げっぷ」で終わっている。これは、原作者もちょっとストーリーづくりに安易になってしまっているような印象を受ける。満腹というルール違反をせずに、しっかりとメニューを選択してくれるゴローさんの方が好感が私は持てる。


孤独のグルメ2

孤独のグルメ2




nice!(1) 
共通テーマ:日記・雑感

『空き家問題』 [書評]

センセーショナルな時宜的なテーマを取り扱った新書は、比較的、根拠に乏しく、一面的なものの見方をした内容のものが少なくないのだが、本書はデータに基づいて、空き家問題の実態、そして、それが日本社会にとって、どういう影響をもたらしているのか、今後、どのような影響をもたらしていくのかを、書き方は扇情的なところもあるが、しっかりと述べていて、なかなか読み応えがあった。唯一、日本創成会議の提案を鵜呑みにして、それを論拠として主張を展開していたところだけは残念であったが、供給過剰になってしまった学校やオフィスを高齢化に対応してリノベーションする具体的な事例にもとづく提案、高齢者用のシェアハウスの提案などは、実際、不動産業を営んでいるだけあって、単なるアイデアではなく、より実践的な検証もされていて参考になった。空き家問題の深刻さがよく分かるし、また、それを日本人が解決するのが苦手である、ということも本書を読むと理解できる。空き家問題に関心がある方は手に取るとよいと思う。


空き家問題 (祥伝社新書)

空き家問題 (祥伝社新書)




タグ:空き家問題
nice!(0) 
共通テーマ:日記・雑感

矢作弘『縮小都市の時代』 [書評]

 矢作弘という人に私は興味を抱いている。都市計画政策のジャーナリストというニッチ的な分野で、日経新聞記者時代からしっかりとした調査に基づくレポートを発表してきた。ジャーナリストならではの現場を押さえた調査、丁寧なデータ分析、そして仮説を筋道立てて検証していく論理的な思考。私はジャーナリストではないが、似たように都市計画関連の本を執筆するので、若い頃から意識をしていた。ある意味で、見上げるモデルのような人でもあった。
 さて、しかし本書は彼の著書にしては、上記のような丁寧さが見られない。本書はアメリカドイツ、日本の縮小都市に関して論じている。彼の調査実績が豊富なアメリカに関しては、丁寧にそして法律背景なども踏まえた論述がされているが、ドイツはただの観光エッセイのような印象論になってしまっている。私はドイツの大学に客員で1年滞在しただけのぺーぺー・レベルでのドイツの都市計画の理解しかないが、その私が気づくような誤解というか、論点がずれたことが多く書かれている。私が抱いていた矢作像とちょっとずれる内容だ。例えば、ライプツィヒではグリューノウのプラッテンバウ団地から、グリュンダーツァイトの都心部へ人が都心回帰で移っている、という文章があるが、グリュンダーツァイトも都心部のアイゼンバーンシュトラッセの住宅は今でも空き家率は極めて高い。リンデナウアーのグリュンダーツァイトの建物であれば確かに人口は回復しているが、それは近郊であって決して都心部ではない。また、エアフルトをエルフルトと表記するなど、ドイツ語の理解が不足しているのではと考えさせられる部分も多い。全般的な考察もアメリカと違って、鋭さがない。ほとんど、見た感想や、取材した人の意見を無批判に受け入れているのではとの印象を受ける。ドイツの都市計画的文脈、歴史をしっかりと理解していれば誤解しないような見方もしてしまっている。まあ、この点は私も他山の石として自省しなければならないので他人事ではないのだが、ドイツはそこで生活して建築の仕事や都市の仕事をしている日本人もいるのであるから、このようなレベルで本の形にしたのはちょっと拙速だったのではないかとの印象を受ける。
 とはいえ、このような見方をしてしまうのは分からないでもない。というのは、私もドイツで暮らすまでは、そのような印象論的な見方をしてしまったからである。いや、ドイツで暮らした後でもそのような印象論的な見方をまだしてしまっている。その反省を踏まえて、現在「ドイツの都市計画」という本を読もうとしているのだが、いかんせん、ドイツ語なので遅々として進まない。
 私としては、尊敬する矢作氏でさえ、そういう失敗をしてしまうのか、ということで自分も注意をしなくては、と思わせられた。


「都市縮小」の時代 (角川oneテーマ21)

「都市縮小」の時代 (角川oneテーマ21)




nice!(0) 
共通テーマ:日記・雑感

『中央線がなかったら』 [書評]

 中央線がなかったら東京西部はどのように再認識されるであろうか。なかなか、興味深い着想によって本書はまとめられている。中央線はあまりにも真っ直ぐであり、あまりにも東京西部の都市構造を認知するうえでも影響が大きいので、それなくして東京西部はイメージしにくくなっているが、その先入観を取り払われたら、何が出てくるのであろうか、という問題提起は面白い。ということでわくわくして本書を読み始めた。
 本書は1部と2部とから成る。東中野周辺、中野や阿佐ヶ谷を論じた1部と、府中と日野を論じた2部である。1部は3章、2部は2章とから構成される。ちなみに本書の著者として名前があがっている三浦展も陣内秀信も、単著で書いた章はなく、おもにフリーライターと陣内さんのお弟子さん達が書いている。それでも、1部は三浦、陣内も執筆者として名前を挙げているだけあって興味深い内容だ。確かに中央線が出来る前の東京西部の空間構成は、我々が現在、抱いている空間イメージとは違うのだな、ということが分かって面白い。しかし、2部の府中と日野の章は興味深くない訳ではないが、中央線との関係性が薄い。特に、府中はそもそも中央線とは関係がそれほどないと思われる。さらに、日野は中央線の真っ直ぐの一直線が折れ曲がっており、新宿—立川間のような空間支配力は薄れている。
 私はむしろ、吉祥寺三鷹や武蔵境、さらには立川のこと(立川は中央線ができてから、その重要性が増したと思うのだが、それ以前はどうであったかを知りたかった。特に万願寺など歴史的にもそれなりに重要な役割を果たした寺が、なぜあのようなところにあるのか、高幡不動の位置づけなども知りたかった)をむしろ書いてもらった方が、本書のテーマとは合致していたと思われる。ということで、コンセプトは非常に興味深かったのだが、若干、肩すかしの印象を持った。読んで損とまでは思わないが、結局、一番面白かったのがプロローグの陣内氏と三浦氏との対談というのは、やはり今ひとつの誹りは免れないかもしれない。値段を高くしても、頁を増やして、上記の点も網羅してもらった方が読者としては有り難かった。

中央線がなかったら 見えてくる東京の古層

中央線がなかったら 見えてくる東京の古層




nice!(0) 
共通テーマ:日記・雑感

『郊外の衰退と再生』 [書評]

日本の郊外には多くの放棄住宅地がある、という「不都合な真実」に注目をした著者の8年間の研究をまとめたもの。著者は「いつまで経っても空き地が多いままの住宅地がある。住宅開発してから10年、20年が経過しても、空き地は減る様子がないし。少しは家が建てられ、人が住み始めている様子はあるが、とにかく空き地が多い住宅地」を「未成住宅地」と名付けた。この「未成住宅地」の実態を現地踏査と住民のアンケート調査など、まさに現場に足を運ぶ作業の積み重ねで明らかにした。その調査結果は、そのオリジナリティと着眼点の新しさから、非常に価値のあるものと思われる。日本が抱える郊外の縮退を理解するうえでは多くの知見が含まれている。ただし、おそらく出版社からの依頼かもしれないが、その対策も提示されているが、それに関してはまだ弱いところがある印象を受ける。というか、この問題の対策はそう簡単には出ないであろう。これは、世界中の多くの縮退地域が頭を抱えている政策課題であるからだ。本書の価値は、時間をかけて丹念に郊外の縮退状況を明らかにしていった調査結果にある。大変、貴重な情報である。


郊外の衰退と再生―シュリンキング・シティを展望する

郊外の衰退と再生―シュリンキング・シティを展望する




nice!(0) 
共通テーマ:日記・雑感

『ライネフェルデの奇跡』 [書評]

ライネフェルデは驚くべき奇跡的な事例であることが、本書からはよく分かる。このような本が日本語で読めるのは大変有り難い。しかし、日本語訳は決してよくない。である、ですます、といった語尾が統一されていないことや、ヴィッテンベルクがウィッテンベルゲ、ライプツィヒをライプチヒ(ライプチッヒならまだ分かる)という標記ミスがやたら多い。というか、訳者はドイツ語ではWを英語のVと発音することをどうも理解していないようなのだ。他にもレクリエーションをレクレーションと記述するなど、カタカナがおかしい。これは出版社が当然、チェックするべきことであるので、訳者の責任ではないと思うが、読みにくい。訳者は大学の先生であるが、おそらく学生か誰かバイトが訳したのであろう。その点は残念だ。ドイツ語が得意な人は原書を読むことをお勧めする。





nice!(0) 
共通テーマ:日記・雑感

東京五輪で日本はどこまで復活するのか [書評]

著者は本当に大学の教員なのであろうか?その分析の視座、自分勝手な推論。私も同職だが、このレポートは学部の卒論の中間発表でも書き直させる。本当に森ビルの研究所はこの著者に仕事を任せているのだろうか。そもそも、都市政策専門家というが、都市政策の目的のビジョンが21世紀のものとは思えない。著者はどうも東京オリンピックには随分と思い入れがあるようだ。後書きに堂々と書いている。そして、再び復活、というシナリオを描いているが、ドリーム効果とかいう訳の分からない概念を応用させての効果測定はまったくもって非論理的で、ほとんど妄想のレベルである。私は、むしろエンブレムにしろ、新国立競技場にしろ、この東京オリンピックで気持ちは浮かれるどころかどんどん沈んでいる。ここまで日本は駄目なのか、というのを世界中に知らしめている。特にザハ・ハディドの国であるイギリスの攻撃は凄いものがある。著者は日本国民が全員、著者と同じようにわくわくしている前提でこの本を書いているが、実態とは大きく遊離していると思う。ロンドン・オリンピックがこれだけ効果があったということで、東京オリンピックも同様かそれ以上の効果があるとの分析も出鱈目だ。ロンドンと東京では、不動産投資に関連する法律などがまったく違う(ロンドンは外国人でも土地を容易に購入することができる)。また、ロンドン・オリンピックはブラウンフィールドを再開発するための手段として都市計画的に極めてしっかりと位置づけられていて、跡地利用も素場らしいものがある。東京のどこに、そのような都市計画が存在しているのか。本当に著者は都市計画の専門家なのか。とても信じられない。本書の内容というよりかは、著者が社会的にちゃんとした職業についていることの方がより大きなショックを受ける。
nice!(0) 
共通テーマ:日記・雑感

『機械との競争』 [書評]

150頁強の薄い本ではあるが、内容は極めて濃い。MIT(マサチューセッツ工科大学)の経済学教授と同大学ビジネススクールに務める科学者による共著。機械というよりかは、コンピューターの発展によって今後、多くの雇用が奪われるだろうという仮説を前半では検証する。どのような仕事がコンピューターに奪われ、どのような仕事は奪われないか、などの推測はたいへん興味深い。ただ、内容的には悲観的と思うかもしれないが著者は、将来展望は明るくなるのではないかと推察している。「デジタル技術は、分散した人それぞれの知識を経済全体の利益のために活用する機会を大量に生み出している」ため、うまくそれを活用する企業にとってチャンスはますます増えてくる、という見解を示している。ただし、「大学を出たら毎日上司にやることを指示されるような従来型の仕事に就こうなどと考えていると、いつの間にか機械との競争に巻き込まれていることに気づくであろう。」これから仕事に就こうとしている大学生や、またリストラされそうな社会人に読むと益が大きい本であると思われる。

機械との競争

機械との競争




nice!(0) 
共通テーマ:日記・雑感

『日本の絶景鉄道』 [書評]

日本の美しい風土の中を走り抜ける鉄道。日本という国は美しいこと、そして、その美しい国土は鉄道によって我々と結ばれていることを再認識でき、日本で生まれ育っている幸せと、その美しい国土を鉄道に乗って見に行かなくては、という旅情をかき立てる写真集である。惜しいことは、北海道函館本線と釧網本線の2写真しか載っていないこと。随分と廃線にはなってしまったが、それでも宗谷本線とか石勝線とか、富良野線とか根室本線とか素晴らしい鉄道風景があるような気がする。また、写真の撮影データが皆無で、これは残念。


ニッポンの絶景鉄道

ニッポンの絶景鉄道




nice!(1) 
共通テーマ:日記・雑感

Managing Population Decline in Europe's Urban and Rural Areas [書評]

本が届いて、その薄さにびっくり。索引を除けば、わずか80頁である。これは、しっかりとみれば分かったので情報をちゃんとチェックしなかった私の責任であるが、値段が高いので油断した。一頁100円ぐらいの値段だ。さて、一頁100円の価値があればそれでもいいのだが、その点は微妙である。タイトルにはヨーロッパと書かれているが、基本的にはオランダの縮小に関する本であり、オランダの縮小都市の事例や縮小現象が中心となっている。オランダの縮小がヨーロッパ全体と比べてどういう特徴があるかなどの分析で、ヨーロッパの状況も分かるが、基本的にはEurope's ではなく Netherland's とタイトルはすべきであろう。オランダの縮小都市の状況などが英語で読めるという点では価値はあるが、コスパは悪い。また、新しい観点はなく、これまでのDiscourseを整理したという内容であり、その点はあまり評価できない。




nice!(0) 
共通テーマ:日記・雑感

『電力改革と脱原発』 [書評]

本書は、これまで著書が発表した「脱原発の経済学」、「放射能で汚染された廃棄物」の続編であり、これら二著が発表された後の新たな動きを電力システム改革を切り口とすることでまとめたものである。著者によれば「電力システム改革により、電力会社は、地域独占企業から競合する電気事業者のなかの一企業への転換を余儀なくされる。」そのような流れを著者は学者らしく、データをもとに、丹念に論理を構築させていく。本書を読めば、原発が安い、という説がいかにいい加減であるかがよく分かる。原発反対派も推進派も読んでもらいたい。原発の経済面からの問題がしっかりと分かりよく整理されている。

電力改革と脱原発

電力改革と脱原発




nice!(0) 
共通テーマ:日記・雑感

rockin'on BOOKS vol.2 LED ZEPPELIN [書評]

「ツェッペリン、究極の1冊」という帯のコピー通りの、充実したツェッペリン本。誰よりもツェッペリンを知っていると自負する渋谷陽一による各アルバムの解説、ページとの2万字インタビュー、さらに全楽曲の徹底レビュー。ロックの怪物バンド、レッド・ツェッペリンの偉大さ、凄さがよく理解できる本であり、これを読むことでツェッペリンをより楽しむことができる。最後に渋谷陽一がリユニオン・コンサートの感想を書いているのだが、そこで「ツェッペリンは曲に宿り、ツェッペリンはグルーヴに宿っているのである。それを導き出すのはメンバーだが、あくまでも彼ら自身がツェッペリンであろうとする覚悟と準備がない限り、ツェッペリンのマジックは降臨しないのである。」けだし名言である。誰よりもツェッペリンを理解しているからこその鋭すぎる分析である。

rockin'on BOOKS vol.2 LED ZEPPELIN

rockin'on BOOKS vol.2 LED ZEPPELIN




nice!(0) 
共通テーマ:日記・雑感