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ベルリンは東側が圧倒的に面白い [都市デザイン]

ベルリンに来ている。ベルリンには縁があって結構、頻繁というか1年に1回くらいのペースで来ている。最初に訪れたのは2002年の春であったが、その後、ドイツの縮小都市を研究する研究費をいただいたこともあり、2004年の春、2005年の春、2005年の8月、2006年の4月、2006年の秋は学生と一緒に、2007年の春と訪れている。ホテルも2002年の春は委託研究であったので西側の比較的いいホテルに宿泊したが、それ以降は東側のオストバンノフ駅にあるインターシティ・ホテルやそのそばのイビス・ホテル、ベスト・ウェスターン、ユースホステル(学生と一緒の時)と東ベルリン側ばかりに宿泊していた。今回もアレキサンダー・プラッツのそばのエイゴン・ホテルに宿泊している。

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東側にばかり宿泊するのは、基本的には宿泊料金が安いからであるが、一方で東側の方が西側よりはるかにエキサイティングであるということも理由である。前回のブログで、モスクワを上空から観て、思わず感動に身震いした、というようなことを記したが、ベルリンの東側もそのような感動を覚えることができる。初めて、東ドイツの巨大な社会主義時代の遺物ともいえる団地群をみたときは感動した。感動というといい意味でとらえられるかもしれないが、必ずしも感心した訳ではない。よくも、こんなものをつくったなあ、というあたかもドデカイ高圧線の鉄塔を観たときのような感動である。よくぞ、こんなあまり必要性もない非人間的な建物を多くつくったものだ、という感動である。このような団地はライプチッヒやドレスデンといった旧東ドイツの都市でも観られるが、その巨大さ、多さはベルリンには到底及ばない。それは、冷徹で暖かみのない巨大な「住む機械」のようなものだが、それが妙に格好いいのである。というか、どうせベルリンで泊まるなら、日本とは異質度の高い東ベルリンの方がいいと思うのである。

社会主義時代には都市計画のルールがあった。社会主義の理念を都市空間に具現化しようという試みがなされたのである。具体的には、「都市の中心部に大きな広場をつくり、その周辺に共産党の建物などの重要な政治的機能を有する建物を配置した」、「この広場から周辺に向かって延びる広幅員の目抜き通り(マギストラーレ)を配する」、「この目抜き通りに沿って、行政機能を有している大きな建物を配する」などが行われた。東ベルリンでは、アレキサンダー・プラッツが広場として整備され、カールマルクス・アレーがマギストラーレとして整備された。東ベルリンでは他にもマギストラーレが計画されたが、実際つくられたのはカールマルクス・アレーだけである。このように東ベルリンでは、社会主義の意地が結晶したため、その理念を徹底して具現化しようとした痕跡があちこちに伺えるのである。結果、その空間にはアメニティが欠如しているし、非人間的だし、コルビジェ的であるし、区画が大きくてやたら歩かされるし(イスラマバードを思い出す)、もう生活するものにしてみたら、ふんだりけったりの酷い状況なのだが、観光客の立場からいえば、もう東の方が断然に面白いと思うのである。そもそも、ほとんどのベルリンの都市観光地も東に結集しているような印象を受ける。前述したマギストラーレのカールマルクス・アレーをはじめとしてアレキサンダー・プラッツとベルリン・タワーとか、ポツダム・プラッツとか、リンデン・アレーとか、フリードリッヒ・シュトラッセとか、ベルリンらしさ、というかプロイセンらしさを感じるのは圧倒的に東側なのである。確かにドームとか西側にもなかなか面白いランドマークがあるが、私の中ではもうベルリンといえば東の印象が強烈に強い。ルー・リードのアルバム「ベルリン」のおどろおどろした感じは、何か東側で聴いた方がしっくりくる感じがするのである。徹底している、というか突き抜けた感が東側の方が強く、前述した団地なども強制的に住まわせられたらたまらないだろうが、選択して住むのであれば、敢えて選択するのもありかな、と思ったりもする。これは生活者の視点からではまったくなく、単に都市デザイナーとしての興味からだけであり、こういうことを思うのは、自分が都市計画を勉強していた人間であるからだろう、ということを自覚させてくれる都市がベルリンなのである。

東ベルリンは現在の都市計画の潮流が否定したものの博物館のような都市である。それは、まさにブラジリアと同様な都市計画の失敗を如実に示している証拠でもある。しかし、それが徹底的になされているという点から東ベルリンには強烈に惹かれるものを感じる。とはいえ、ブラジリアよりは断然、いい。これはなぜかというと、東ベルリンだけに限ったことではなく、ライプチッヒやドレスデンやケムニッツやゲーリッツといった他の旧東ドイツの都市に共通していえることだが公共交通がきわめてしっかりと機能している。したがって、住宅や都市空間は幾何学的で極めて非人間的ではあるが、アクセスという観点からは優れている。ここがブラジリアとの大きな違いである。加えて、東と西が混在しているために、ベルリンはライプチッヒやドレスデンと違ったコスモポリタン的な都市としての魅力を有しているのであろう。そのためにベルリンにおいては東側と西側の対比が強烈に認識できる。それが、ベルリンという都市の大いなる魅力なのではないか、と考える。


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