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デンマークのコーリング市を訪れ、ピラミッドを視察する [サステイナブルな問題]

デンマークのコーリング市を訪れる。コペンハーゲンで泊まってもよかったのだが、少しでも家に近づきたいのでコペンハーゲンから特急で2時間ほど行ったコーリング市で泊まることとする。ホテルの値段も安くなるだろうと考えたのだが、残念なことに駅前のホテルの値段はコペンハーゲンで泊まったホテルとほとんど同額であった。ただし、ホテルのグレードはコーリング市の方が高かった。コーリング市にしたもう一つの理由は、この市街地にピラミッドと呼ばれる環境共生プロジェクトがあるからである。これを視察したいと思ったのが理由である。ちなみに、このコーリング市、Koldingと書く。ただし、どう聞いてもコーリングとdが聞こえないので、コーリングと書かせてもらう。メルボルンは私にはメルボンとしか聞こえないが、これはもうメルボルンで通っているので主張する気はないが、コーリングが日本でどう紹介されているか不明だが、ここではとりあえずコーリングと書かせていただく。

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(環境共生プロジェクトであるピラミッド)
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(ピラミッドの入り口)

さて、このコーリング市、実は初めてではない。以前、コペンハーゲンからハンブルグに向かう際に列車の乗り換えで、2時間ぐらいここで時間を潰したことがある。その時はそんな環境共生プロジェクトが存在する自治体であるなどとはまったく気づかなかった。中心市街地が歩行者専用となっており、デンマークは地方都市でもコペンハーゲンの歩行者専用空間であるストロイエの影響があるのかなと思ったのと、お城とその前の湖が結構、フォトジェニックであるなと思ったくらいである。

環境共生プロジェクトであるピラミッドは、市内の駅から5分ほど南西に歩いたところにあった。普通の住宅街にあり、しかも中庭に設置されているので外側からはまったく分からない。私もぐるぐるとその周辺を探し回った。ちなみに、ホテルの受付で場所を尋ねたら、そのようなものはまったく知らないということであった。日本人である私が知っていて、地元でしかもホテルで働いている人が知らないのはちょっと驚きである。日本人はいらないことまで知りすぎているのかもしれない。とはいえ、このピラミッドは環境問題を研究している人達には比較的知られている事例だと思われる。それはともかくとして、場所が不明なので住所を頼りに探し回ったのだが、前述したように外側からは見えなかったので見つけるのには苦労した。さて、第一印象はおお!なかなかシンボリックでいいじゃないというものであった。ジョン・トッドじゃないかあ、というちょっとした感動を覚える。しかし、近づいてよくよく見ると結構、汚くて落胆した。日本からわざわざ来ていたら相当がっかりしたであろう。今回はちょっと寄り道という感じで訪れたので、まあそういう点では救われた。奇特な私のブログの読者も、敢えてここに来ることは考えなくてもいいと思う。

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(駐車場の屋根にソーラーパネルが設置されている)

このピラミッドは1994年から機能し始めている。15年経ってみるとみすぼらしくなってしまったのかもしれない。しっかりと管理されているのか、多少怪しい。1998年頃に書かれたレポートに掲載されている写真は美しいのだが、私の目の前にあるピラミッドは汚れていた。とはいえ、このピラミッドを中庭に共有する住戸は129戸。250人近い住民がいるのだが、彼らにとっては極めてシンボル性の高い施設であり、優れた機能を供給してくれているのだろう。冷たい雨が降っていて、住民に取材等ができなかったので、彼らがどう捉えているかは不明ではあるが、私だったらこういう下水浄化施設があれば嬉しいと思う。

デンマークでは80年代後半に都市のエコロジーが検討されはじめ、多くのプロジェクトが行政ではなく個人主導で行われる。行政主導で実施された例としてアルバーツラントが挙げられるが、このコーリングのピラミッドもトップダウンで行われる。すなわち、コーリング市が主導で実施され、住民参加はほとんど行われず、そのため住民は結構、不満であるとEUの報告書には記載されていた(コーリング市以外では住宅省、都市再生公社が関与している)。このピラミッドのある区画では全ての下水は収集され、そこで二段階で浄化される。第一段階は簡易なバイオ・フィルターとオゾン・フィルターそして紫外線によって浄水され、第二段階ではピラミッドにて浄水される。第一段階を経た処理水はトイレの洗浄用に用いることができ、この区画の半数の住戸がそれを行っている。これを実施することで、水道料金は半額になるそうだ(出所はEUのGood Practice in Urban Development)。ピラミッドは面積840㎡、容積460m3のプールになっており、そのプールの水草や藻類によって水は浄化されるというシステムになっている。浄化された水は、この区画の土壌に浸水させられ、区画外に下水が排出されることはない。

事業費はおよそ6600万デンマーク・クローネ。ということは、900万ユーロくらいか。日本円にすると11億円くらい。と考えると安い。また、このプロジェクトはこの区画にある建物のリハビリ事業も並行して実施した。多くの建物が戦前につくられたものであり、私がこのピラミッドを見つけるのに難儀したのの理由として、ファサードが古くて、まさかこのような古い建物の一角にピラミッドがあるとは思えなかったからである。

問題点としては冬期における暖房費が高いことである。環境保全を意図して、エネルギー消費をしてしまったら本末転倒である。この問題の指摘は10年ほど前に行われていたので現在、どうなっているかは不明であるし、現地を見ただけでは分からなかったが、興味深い試みであり、そのシンボル性の高さなどから我が国の都市内でも応用できるのではないかとも思う。大学なんか試みるのにはいいのではないだろうか。

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