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オバマケアが廃止されたことで見えてくるアメリカ社会の闇 [トランプのアメリカ]

 オバマ政権下で2014年に成立した通称オバマケア(Affordable Care Act)の廃止が連邦下院にて可決された。オバマケアは、それまで医療保険制度が国民皆保険制度ではなかったアメリカにおいては、国民皆保険制度のような「公的保険」ではなくても、保険会社が既往症などによって差別をさせない制度を導入したり、医療保険に入ることを義務化したりするなど従来に比べると画期的な進歩をもたらし、ようやくアメリカも文明国らしくなったな、と私は思ったものである。というのも、アメリカの大学院に行っていた時、高額な医療保険に入っていたことがあり、しかも保険サービスや医療サービスも悪いといった「高かろう、悪かろう」という劣悪なシステムにほとほと辟易としていたことがあったからだ。この点に関しては日本の方が遙かにしっかりとしている。それがオバマによって、ようやく少しはまともになったかと思ったら、また逆戻りである。
 民間の保険会社は、利益の最大化を図るために、人の足下を見る。そして、保険会社に足下を見られるのは、高齢者、そして病気を患っている人である。実際、MSNBCのニュースによると、今回の改案によって最大の犠牲になるのは、高齢者であり、そして既に病気を患っている人であるそうだ。
 オバマケアが導入されて無保険者の割合は2010年の4400万人から2015年には2900万人まで減少した。1500万人が新たに医療保険に入ることができたのである(そもそも、医療保険に入ることが難しいというのは、日本人にはちょっと理解がしにくい)。
 そのようにオバマケアはアメリカ人にとって素晴らしい案であったが、なぜかそれを廃止すると公約に掲げたトランプが大統領に当選された。
 さて、この選挙結果、さらにはアメリカのニュース番組の解説やコメンテーターの意見から見えてきたことは、アメリカ人は弱者を助ける、といった慈悲の心、または共同体として弱きものを救う、といった意識が極めて薄い人が多いということだ。もちろん、アメリカ人全員がそうでないことは、オバマケアが法律として成立したことから明らかだが、アメリカ人の半数ぐらいは、病人や高齢者といった社会的弱者を自分達が支える、というか負担をするということが納得できないのである。
 とはいえ、自分達もいつ病気になるか分からないし、交通事故に遭遇して、いきなり治療が必要となるかもしれない。今回の改案では、なんと救急車サービスも保険適用外になるらしい(その最終判断は州が決める)。こんなリスクを社会で抱えきることが出来るのであろうか。
 トランプのオバマケアの改案は、簡単に言えば「病人と高齢者は死ね」と言っているようなものだ。実際、デモをしている人達は、本人もしくは家族にオバマケアがなくなることで、もう高額な治療費が払えないために生きていけない、という切実な訴えをしていたりもした。しかし、「病人と高齢者は死ね」という決断を共和党はした。こういう意見がマジョリティである社会は、どこかできっと大きな膿を生じる。いや、もう生じてしまっており、トランプ自体がその大きな膿なのかもしれない。
 アメリカの社会が音もなく崩壊しているようで、大変心が痛む。しかし、それが対岸の火事と高をくくっていると同盟国の日本も酷い目に遭いそうな気がする。

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