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鶴岡市に来て、コンパクト・シティへ対する違和感の要因がちょっと明らかになる [都市デザイン]

鶴岡市に来ている。鶴岡市はコンパクト・シティを推進している。私は以前から、日本のコンパクト・シティ政策には相当、違和感を覚えていた。この違和感は、20年ぐらい前、コンパクト・シティが注目された直後から覚えており、『日本の都市はそもそもコンパクトである』といった論文をビオシティに寄稿していたりした。
 その後、コンパクト・シティのブームをつくり出した著書『コンパクト・シティ』の著者である海道清信先生と親しくなり、一緒に海外調査など出かけていくようにもなった。そこで、この私のコンパクト・シティへの違和感を彼に伝えると、彼もどうも政策レベルではおかしなことになっているような印象を受けると言う。そういうこともあり、ちょっと時間があればこのコンパクト・シティ政策の分析をしなくてはと思っていたりするのだが、時間がなくてなかなか手が付けられていない。
 そのような中、鶴岡市に来て、私が違和感を覚える原因がちょっと見えてきた気がした。鶴岡市は人口13万人。戦災を回避したこともあり、絹産業と日本酒とで戦前に築き上げられた豊かさだけでなく、モータリゼーションが進む以前の空間構造も残っていた。コンパクト・シティを進める上では好条件を有している都市といえよう。
 ただし、その交通主体は圧倒的に自動車である。鉄道駅はあるが、単線の羽越本線のみである。バスはあるが、黒字路線は空港線と羽黒山に行く二路線のみ。いや、黒字路線があるだけ素晴らしいと言うべきか。とはいえ、これら市民以外が使う路線だけが黒字ということは、市民の足となるバス路線はすべて赤字ということであろう。これは、市民は圧倒的に自動車で移動するからだ。
 自動車の移動に望ましい都市空間は低密度で広域に展開するものとなる。アメリカの戦後、発展した都市がまさにその典型である。世界で最初の高速道路を通したロスアンジェルスを嚆矢とし、フィニックス、タンパ・ベイ、ヒューストン、ダラス、インディアナポリスといった都市群である。それは、自動車で依存することを前提とし、その移動効率、土地利用効率を考えると極めて理に適っている都市構造である。そして、エネルギーを大量に消費する。土地に占める道路率は高い場合は6割にものぼる。これは、駐車場も道路に含めた数字であるが、自動車は何しろ土地を多く使用するので、その利用を最大限に活かそうとするとそういう数字になるのだ。
 自動車で移動するという前提で都市の構造を考えると、コンパクト・シティは極めて不適であるし、人々のニーズにそぐわない。
 コンパクト・シティは土地を効率的に活用し、移動エネルギーを少なくし、また高密度化することで人々の交歓する機会を増やすなど、多面的なメリットがあるが、それは自動車利用を削減させることとセットで進ませるべきことである。逆に言えば、この二つの目的、つまり都市構造のコンパクト化、脱自動車を両方とも目指すことで始めて実現できるものである。
 にも関わらず、日本のコンパクト・シティを目指している都市は、脱自動車にはまったく力を入れられていないのではないか、ということを鶴岡市で私は感じ取ったのである。そして、それが、日本のコンパクト・シティ政策への私の違和感であることに気づいた。
 まあ、気づいても、それを論証するための時間があまりないのだが、長期的にこのテーマには取り組みたいと考えている。

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