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崇德村のコミュニティを訪れる [地球探訪記]

成都市から車で小一時間ぐらいのところにある崇州市の崇德村のフィールドワークを四川大学、国立台湾大学等の学生達と一緒に行っている。龍谷大学政策学部の学生も3名ほど参加している。住民の状態などはよく分からないので、取材をするしかない。ということで、ある村落に入って学生達が取材するのに同行する。
 この村落は19戸。皆、同じ名字らしい。最初に取材をしたのはおばあさんとおばさん。その後、いろいろと村落の人達もわやわやとやってきたが、取材の中心はこの二人である。おばあさんは82歳。闊達としており、とてもそのように高齢とは思えない。もう一人のおばさんは52歳。このおばさんはとても元気で、以前、チベットに出稼ぎに行き、そこで身体を壊し、心臓手術をすることになってしまった。この治療日が1万元。保険で補填してくれたのはわずか2000元だったので、せっかくチベットにまで行ったのに元が取れなかったようだ。
 なんか凄い話だなと思ったが、どうもこの村落の人達はチベットや青海(せいかい)に土木工事で出稼ぎに行くようだ。チベットとの間に道路や鉄道などのインフラを整備して、より支配下におこうとしている中国政府の野心も見え隠れする。我々の話に途中から入ってきたおじさんもやはりチベットに行っていたそうだ。ただ、人の指図を受けるのが嫌なので、お金が稼げなくても自由な農業をやるためにここに戻ってきたそうである。
 このおばさんが住んでいる家はなかなか立派で、中庭などもあり、最近のシリコンバレーの金持ちが大金をはたきそうな家づくり(最近のシリコンバレーの金持ちはどうも自宅で農業というのが流行りだそうだ)なので、私はてっきり庄屋なのかなと思っていたが、おばさんの話だと収入もなく、とても貧乏だということだそうだ。本当かよ、と思ったりもしたが、チベットに出稼ぎに行くぐらいなのでこれは事実なのであろう。
 この二人に、どこかこの地区でよい所は?と聞いてもらったが、「何もない」とのこと。さらに、周辺につくられている郊外住宅風の強制移転された人達向けの住宅地には是非ともチャンスがあれば引っ越したいという。ただ、この周辺では最も洗練された環境共生型住宅の「五星村」はあまり好きでないようだ。その理由は、妙に周辺の農地と共存していて近代的ではないからだからだそうだ。とはいえ、政府のお金が出ればの話で、自分達では一元も払いたくないそうだ。
 82歳のおばあさんに成都のマンションに引っ越したいか、というと躊躇なく、引っ越したいと言う。そこで私が、しかし友達がいなくなると寂しいのでは、と尋ねると、友達と一緒に引っ越したいという。日本だと農村から子供がいる都会に高齢者が引っ越すと早死にするということをちょっと指摘したい気分にもなったが、それは遠慮した。
 いろいろと唖然とする私に、友人の国立台湾大学の先生は、「この人達の言葉を真に受けたらダメだ。これだけ周辺の環境をしっかりと管理している人達が、土地に愛情がない訳がない」と言ったので、そうかも、と思ったが、私はそれでも現状に対する相当のストレスがあるなとは感じた。

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