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シモキタザワテラスという名のチェーン店 [商店街の問題]

 シモキタザワテラスという名前のカフェ・レストランが下北沢の南口、元イタリアン・トマトのあったところに開業している。シモキタザワテラスという名称から、これは個店であると思いそうであるが、実はイタリアン・トマトが経営するお店であった。ちょっと興味深い。というのは、まずイタリアン・トマトの経営陣はなかなか下北沢のマーケティングが分かっている。というのも、下北沢の魅力はローカル経済で回している個店群であり、それらを経営している個性的な人々であるからだ。一部の人を除いて、多数の人は下北沢にきてチェーン店には入らない。チェーン店で消費したければ、二子玉川とか渋谷とかに行けばいいからだ。下北沢にしかない店を目指して、下北沢にほとんどの人は来るのである。イタリアン・トマトはおそらく、下北沢で店を経営していて、そういうことが分かったのであろう。とはいえ、当時のイタリアン・トマトにお客が入っていない訳ではなかった。私は、ちょっとどうして下北沢にまで来てイタリアン・トマトに来るお客がいるのだろう、と不思議に観察していたことを覚えているからだ。しかし、やはり、想定したほど入らなかったのであろう。
 ということで、名前を変えた。しかも下北沢の地霊を呼び込むかのようなネーミング。地名をそのまま店名にしてしまえば、なかなかチェーン店とは思えないであろう。いや、正確にいうと、ここはチェ−ン店ともいえない。というのは、他に「シモキタザワテラス」という名称の店はないからだ。ただ、運営形態はおそらくほとんどイタリアン・トマトなのであろう。
 また、興味深いのは、実際、ローカルの個店かと思って入ってしまうお客がいるからである。私は、この話を学生から知ったのだが、その学生は下北沢らしいお店に入ったつもりであったので、騙されましたと笑って言っていたが、消費者と街のブランディングという点からはこれは問題ではある。イタリアン・トマトが賢いことはよく分かったが、やはり、これはシモキタという街のブランドに乗っかったフリーライド的行為であるとも思うのである。
 こういうことを言うと、そんなショッピング・モールでもないのに商店街レベルでテナント・コントロールは無理だと思われるかもしれないが、例えばアメリカの商店街(カリフォルニア州のカーメルや同州サンフランシスコのウェスト・ポータル街など)はそうしているところもある。まあ、下北沢のように1200店も店舗があるところだと、そういうコントロールは無理だし、それほど目くじらを立てることもないかもしれないが、一つの商店街の抱える課題を提示しているとは思われる。
 

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